研究課題/領域番号 |
17012014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10199812)
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研究分担者 |
中村 岳史 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (60362604)
清川 悦子 京都大学, 医学研究科, 講師 (80300929)
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キーワード | システム生物学 / 細胞増殖因子 / がん遺伝子 / 上皮細胞増殖因子 / Ras / MAPキナーゼ / Shoc2 |
研究概要 |
21世紀生物学の大きな流れは、生命現象のコンピューター上での再現である。がん研究においては、がん化の過程をコンピューター上で再現するシステムを構築し、これを使うことによって、もっとも効率的にがん細胞の増殖を止めうる分子を狙い撃ちにしたピンポイントの創薬や、理論に基づいた個人に至適なオーダーメイドの治療法が可能となる。本研究は、この目的に向かって、下記の研究を遂行した。 1.上皮細胞増殖因子情報伝達系のシミュレーションモデルの改良:新たな実測データをパラメータ化し、version2のシミュレーションモデルを完成させた。 2.スキャッフォールドタンパク質を組み込んだシミュレーションモデル:スキャッフォールドタンパク質Shoc2/Sur8の機能を解析し、それを組み込んだモデルを完成させた。Shoc2/Sur8はカルシウム情報伝達系とRas/MAPK情報伝達系の接点として機能していることが明らかになったので、これにより、細胞増殖因子情報伝達系とカルシウム情報伝達系のクロストークを組み込んだことになる。 3.グアニンヌクレオチド交換因子Sosの多段階リン酸化の導入:上記モデルに、SosのERKによるリン酸化、ならびにネガティブフィードバックモデルを追加し、モデルの制度を向上させた。 以上の研究により、実測データに元ずくシミュレーションモデルに、細胞増殖情報伝達系とカルシウム情報伝達系の一部と実装することができた。今後、細胞形態の維持に関わる情報伝達系などを実装していくことでより精巧なモデルができるものと期待される。また、がん細胞と正常細胞との違いをパラメータとして入力することで、今後、がん細胞と正常細胞との違いをモデルとして提示できる準備が整ったと考えられる。
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