研究概要 |
可変型遺伝子トラップベクターpU-21(lox71-PGK-beta-geo-loxP-polyA-lox2272-MC1-DT-A-polyA)とTT2 ES細胞を用いて遺伝子トラップESクローンを単離し、トラップした遺伝子を同定できたものは、EGTCデータベースに登録した。現在、600クローンを越えた。 MSM/Msマウス、JF1マウスよりES細胞(Mol/MSME S、Mol/JFIES)の樹立に成功した。 α/βhydrolaseドメインを持つAbhd2遺伝子が、肺のII型肺胞上皮細胞でも発現していることを見出した。遺伝子トラップによりAbhd2遺伝子をノックアウトしたマウスを樹立し、生後1年まで経時的に肺の病理学的解析を行った結果、生後6ヶ月以降に肺気腫が生じること、ゆっくり発症するためヒトの肺気腫モデルとして有用なことが分かった。そのメカニズムは、フォスファチディルコリンの分泌低下により、マクロファージが浸潤し、炎症を引き起こし、protease/anti-proteaseのバランスが崩れるとともに、肺胞上皮細胞のアポプトーシスを引き起こすためであることを明らかにした。これらのことは、Abhd2遺伝子が肺の構造を保つ機能があることを示唆している。 トリプシンインヒビターであるSpink3遺伝子に細胞増殖作用があるが、そのリセプターはまだ不明であるため、膵がんから樹立された培養細胞を用いて解析を行った。その結果、これらの膵がん細胞に対して明らかに細胞増殖作用があること、そのリセプターはepidermal growth factor recdptor(EGFR)であること、しかし、EGFと比較すると結合数は約1/2であること、下流の3つのシグナル、PI3kinase/AKT, JAC/STAT and MAPK、を伝えるが、細胞増殖にはNAP kinase経路が関連することを明らかにした。
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