機能性モチーフを組み合わせ的に重合させ、新しい多機能性人工タンパク質を創製する「モチーフ・プログラミング」のコンセプトに基づく人工タンパク質の技術開発に取り組んでいる。機能性モチーフの組み合わせ的な重合にはMolCraft法と呼ぶ独白の技術を利用している。 人工タンパク質ほ、がん生物学の研究ツール、がんの治療、がんの診断と幅広い分野でがん研究に関わる事が出来る。ここでは特に、発がん過程に深く関わった信号伝達系に焦点を絞り、アポトーシス経路に遍在するBH1〜BH4モチーフの組み合わせ的重合から、アポトーシス経路をモジュレートする活性をもった人工タンパク質を創製している。すでに組み合わせライブラリーの中からアポトーシスを正負に制御するような人工タンパク質が得られているが、今年度はさらに、欠失体の解析や精製タンパク質の物理化学的性質を解析した。また、他の信号伝達系としてインテグリン信号伝達系複合体のメンバーであるP130Casがもつ内部のSrkリン酸化モチーフに注目し、このモチーフ群を2種の代表的モチーフに分類し、この2種のモチーフをいろいろな数と順番でもつpl30Cas部分人工タンパク質化した改変体を作製した。 モチーフ・プログラミングで組み合わせるモチーフには、天然タンパク質がもつ機能モチーフのみならず、進化工学や蛋白工学的にデザインされた機能ペプチドも利用する事がきる。天然モチーフと人工モチーフとの組み合わせから、新しい機能性人工タンパク質を創製する研究も進めている。ナノ炭素マテリアルに結合する人工モチーフと細胞接着モチ山フなどの天然モチーフを組み合わせる事により、無機材料への生物活性の賦与を可能にするような人工タンパク質を作製した。
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