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2009 年度 実績報告書

EBウイルスによる胃がん発症の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 17013002
研究機関北海道大学

研究代表者

高田 賢藏  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30133721)

研究分担者 丸尾 聖爾  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (70292018)
岩切 大  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (10307853)
キーワードEBウイルス / 溶解感染 / IL13 / Bリンパ球 / トランスフォーメーション
研究概要

先に、溶解感染のEBV発癌における役割を検討するため、溶解感染誘導のスイッチ遺伝子BZLF1のノックアウト(KO)ウイルスを作製し、BZLF1をノックアウトしても精製Bリンパ球のトランスフォーム活性に影響が無いことを報告した。本研究では、Tリンパ球が混在する末梢血単核球(PBMC)におけるBZLF1-KOウイルスのトランスフォーム活性の検討を行った。その結果、PBMCでは、BZLF1-KOウイルスは野生型ウイルスに比ベトランスフォーム活性が10分の1に低下することを見出した。更に、トランスフォーム時にシクロスポリンを用いてT細胞を不活化した場合、両者のトランスフォーム活性の差は消失した。FACSで解析したところ、BZLF1-KOウイルスを感染させたPBMCではEBV感染細胞分画が減少するのと同時に、CD3陽性T細胞分画の増加が認められた。次いで、BZLF1-KOウイルス感染細胞と野生型ウイルス感染細胞の間で発現に変化が見られる遺伝子をRT-PCRで調べたところ、IL-13の発現がBZLF1-KOウイルスで誘導されないことを見出した。この違いは感染早期のPBMC、B細胞株及び、感染後、数ヶ月経過したトランスフォームリンパ球の何れにも認められた。野生株EBV感染細胞に溶解感染を誘導した場合にIL-13もまた誘導されることも確認した。野生型ウイルスを感染させたPBMCではIL-13中和抗体処理によりトランスフォーム活性の低下が認められたのに対して、BZLF1-KOウイルス感染PBMCではIL-13中和抗体の効果は明らかではなかった。
以上の結果は、トランスフォーム過程でごく少数(0.1%前後)の細胞に誘導される溶解感染によりIL-13が誘導され、それがパラクラインメカニズムによりEBV感染Bリンパ球のトランスフォーメーションに寄与することを明らかにした。IL-13は細胞障害性Tリンパ球の抑制を介してBリンパ球トランスフォーメーションに貢献していると考えられた。
本研究の結果、潜伏感染遺伝子もパラクラインメカニズムにより発がんに貢献し得ることを初めて明らかにした。EBV関連胃がんにおいても、胃がん組織浸潤リンパ球からのパラクラインメカニズムによる免疫回避が発がんに貢献している可能性がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Epstein-Barr virus-encoded Bcl-2 homologue functions as a survival factor in Burkitt lymphoma2010

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, A.
    • 雑誌名

      J.Virol. 84

      ページ: 2893-2901

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantitative evaluation of the role of Epstein-Barr virus immediate-early protein BZLF1 in B-cell transformation2009

    • 著者名/発表者名
      Katsumura, K.R.
    • 雑誌名

      J.Gen.Virol. 90

      ページ: 2331-2341

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epstein-Barr virus(EBV)-encoded small RNA is released from EBV-infected cells and activates signaling from toll-like receptor 32009

    • 著者名/発表者名
      Iwakiri, D.
    • 雑誌名

      J.Exp.Med. 206

      ページ: 2091-2099

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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