研究課題
性ホルモン受容体に結合する転写共役因子複合体群の生化学的同定のため、繰り越し分の研究費を使い、動物細胞の大量培養を行なった。ほぼ毎週数十リットルの大量培養を行なったため、大量の子牛胎児血清を用い、消耗品費として研究費を使用した。乳がん細胞(MCF7)から、女性ホルモン受容体に結合する複合体群を精製し、新規複合体候補を複数同定することが出来た。現在その中で、タンパクをユビキチン化する、ユビキチンE3リガーゼ活性を持つ複合体の構成因子群の同定を進めるとともに、エストロゲン依存性の癌細胞増殖での役割機能を解析している。また、ヒストンのメチル化・脱メチル化を行なう酵素複合体の存在も明らかにした。ヒストンのメチル化は、染色体の活性化状態を規定する最も重要なヒストンタンパクの修飾と考えられており、現在標的遺伝子群の活性化過程での役割を検討している。これら酵素候補因子については、既にcDNAクローニングに成功しており、強制発現やノックダウンをすることで、女性ホルモン依存性の細胞増殖に極めて重要であることを確認している。一方、男性ホルモン受容体に結合する新規複合体群を生化学的に同定したところ、RNAのスプライシングに関与する複合体群の同定に成功した。また、そのいくつかの候補因子は、精巣あるいは前立腺に特異的に発現していることを見出した。今後は、アンドロゲン依存性前立腺癌における機能について解析する予定である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Nature (In press)(掲載確定)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA (In press)(掲載確定)
EMBO Rep. 9
ページ: 563-568