研究課題
ホルモン依存性腫瘍における性ホルモン受容体群の機能について解析を行っている。本年度では、変異男性ホルモン受容体の高次機能をアンドロゲン依存性前立腺癌モデルを用いて解析した。前立腺癌において頻回に見出される男性ホルモン受容体点変異(877番目のスレオニンがアラニンに変異)を導入したマウスラインを確立した。このマウスの前立腺癌増悪におけるこの変異体の役割を調べたところ、増悪に深く関与することが明らかになった。さらにこの点変異マウスラインと他の細胞成長因子シグナル因子遺伝子群変異マウスを掛け合わせることで、遺伝学的相互作用を検討した。その結果、Wnt5a変異マウスとかけ合わせた結果、前立腺癌の増悪が著しく減弱した。その前立腺癌部位での遺伝子発現パターンを調べたところ、癌抑制遺伝子の発現の低下や癌促進因子の発現の上昇を認めた。そこで前立腺癌患者の前立腺癌部位でのWnt5aの発現を調べたところ、Wnt5aの発現が亢進していることを見出した。一方、同じ前立腺組織の中でも正常部位では、Wnt5aの発現亢進は見出されなかった。また前立腺癌培養細胞系においても、Wnt5aは癌細胞増殖に対し促進的に作用した。Non-canonical Wntシグナルと協調的に作用することで、前立腺癌が増悪することを見出した
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Nature (掲載確定)(in press)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106
ページ: 3818-3822
EMBO Rep. 9
ページ: 563-568