研究課題
1 インターフェロンは正常な細胞増殖やアポトーシスを制御しており、悪性腫瘍細胞はこの制御から逸脱すると同時にウイルス感染に対する細胞自然免疫反応をも喪失する。NF-kappaBを活性化し悪性腫瘍で過剰発現していることが報告されているプロリルイソメラーゼPin1によって、インターフェロン産生が抑制されていることを明らかにした。成人T細胞白血病(ATL)細胞をはじめとする悪性腫瘍細胞は殺腫瘍ウイルスである変異Vbsicular Stomatitis Virusなどへの感受性が高いことが知られており、Pin1はそのメカニズムの一端を担っている可能性がある。2 腫瘍細胞における転写因子NF-kappaBの恒常的活性化機i構を解析し、上流分子NF-kappa Binducing kinase(NIK)の過剰発現を発見した。通常のリガンド結合によるシグナル伝達においては、NIKは蛋白分解の遅延によって活性調節されるのに対して、ウイルス抗原の発現が見られないATL患者末梢血腫瘍細胞およびNF-kappaB活性の高い非ウイルス性悪性腫瘍においては、翻訳よりも前の段階でNIK mRNAが過剰発現していることも見出した。重要なことに、RNA干渉によって癌細胞におけるNIKの発現を抑制するとNF-kappaB依存性転写活性が低下し免疫不全マウスでの腫瘍形成が抑制された。このことは、NIKが悪性腫瘍細胞の増殖を特異的に抑えるための有効な分子標的となりうることを示唆する。3 IkappaB kinase(IKK)に対するRNA干渉法およびIKKのATP結合部位にドッキングするよう設計された新規阻害剤IMD-0354を用いて、ATLおよび膵癌細胞株によるマウスでの腫瘍形成が抑制されることを示し、IKKが有効な分子標的となりうることを実証した。
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