研究課題/領域番号 |
17013033
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
木南 凌 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40133615)
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研究分担者 |
三嶋 行雄 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (30166003)
葛城 美徳 新潟大学, 医歯学系, 助手 (60401759)
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キーワード | がん抑制遺伝子 / 細胞増殖 / アポトーシス / リンパ腫 / Bcl11b遺伝子 |
研究概要 |
1.胸腺リンパ腫はすでにVDJ組換えを行なった細胞由来であり、VDJ組換えがもたらすpre-TCRリセプター・シグナルの活性化が、リンパ腫発症に影響する可能性が示唆される。そこで、すでにVDJ組換えを行なったβ鎖をもつトランスジェニックマウスと野生型マウスから骨髄細胞を採取し、両者の混合比率を変えSCIDマウスに移植した。このキメラ胸腺をもつマウスに放射線を3Gy照射し、30日後に胸腺を摘出し、どちらの胸腺細胞が多く存在するかを調べた。その結果、組換えの終了したβ鎖をもつ胸腺細胞がより多く存在することが分かった。この結果は、pre-TCRの活性化がリンパ腫発症に貢献することを示している。 2.pCDNA6.2GW/EmGFPmiRベクターとBP/LR組換え反応を利用し、IkarosおよびRit1/Bcl11b siRNAを発現するレンチウイルスを作製した。ウイルスを含む培養上清をJurkat細胞に加えて、感染の成立をGFPタンパク発現で確認した。一方、Rit1/Bcl11bおよびIkarosを共に発現するJurkat細胞に感染させ、その遺伝子特異的な発現抑制を検討した。Moi=1で感染させると、Rit1/Bcl11bの発現抑制は期待通りであったが、Ikarosのそれは効率が悪く新たな配列を選び、再挑戦する必要があった。現在Rit1/Bcl11b siRNAを発現するレンチウイルスを用い、マウスへの感染実験を進めている。 3.Rit1/Bcl11b蛋白は細胞核内で、Sirt1 deacetylaseやNuRD複合体とコンプレックスを形成し、転写調節することが報告されている。一方、SirT1 deacetylaseはFoxO転写因子と結合し、p27、Bim-1、Gadd45などの遺伝子の転写を制御している。Rit1ノックダウン細胞とコントロールJurkat細胞を比較すると、Rit1ノックダウン細胞は明らかにSirt1 deacetylaseの蛋白量の低下を示した。また、ノックダウン細胞で血清を5%から10%に上昇させると、Bim-1やGadd45のmRNA量は変化しないが、p27およびBcl-xLのmRNA量が速やかに減少した。p27、Bcl-xLのmRNAの低下は蛋白レベルでの減少、消失と一致し、これらの低下がアポトーシスに寄与すると考えられた。
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