研究課題
我々は、ニワトリB細胞株(DT40)とメダカとを使った逆遺伝学的解析によって、ゲノム維持機構と、X線やトポイソメラーゼ阻害薬、シスプラチンなどDNA損傷を誘導するタイプの抗がん治療の作用機序(がん細胞側の、治療に対する耐性化機構)とを研究している。遺伝子破壊メダカを生産するシステムを樹立した(研究発表の6番目)。従来、100万円の予算を使い脊椎動物で遺伝子破壊できるのはマウスだけだったが、メダカがその第2の脊椎モデル動物になった。メダカでは、ES細胞がないので、ゼブラフィッシュで開発された飽和変異という手法を用いる。ただしゼブラフィッシュでは、遺伝子破壊にかかるコストがメダカより1桁高い。10種類の遺伝子破壊メダカを作製した。このうちp53欠損メダカは、様々な種類の固形腫瘍が生じた(研究発表の6番目)。一方、Loss of Heterozygosityを高頻度で起こす劣性遺伝病の原因遺伝子、Bloom helicaseの欠損メダカは、相同組み換えの後期ステップの異常が原因と考えられる精子形成不全の表現型を示した。ちなみに、マウスのBloom helicase欠損は、胎生致死であり、Bloom病患者との表現型の違いの原因は不明である。DT40細胞から、14種類あるDNAポリメラーゼの各遺伝子破壊細胞株を作製・解析中である。相同組み換えを含むDNA修復には、DNA合成のステップがあるが、どのDNAポリメラーゼがどの修復経路に関与しているかは、ほとんど未解明である。我々は、Polhが相同組み換えと損傷乗り越えとに関与すること、PolQが酸素ラジカルで発生した塩基損傷の除去修復と損傷乗り越えとに関与することを、それぞれMol Cellに発表した(Kawamoto et al. 2005;研究発表の5番目)。現在、ポリメラーゼの多重遺伝子破壊を実施中である。
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