研究概要 |
#発がん抑制遺伝子、NBS1の機能解析(Nakahara et al., PLoS Gene. 2009) 相同組み換えは、DNA修復反応であり、必ず、DNA損傷から開始される。相同組み換えを開始させるDNA損傷については、1重鎖ギャップと2重鎖切断とが想定されていた。そして、2重鎖切断が相同親み換えを開始することは、証明されていたが、1重鎖ギャップが相同組み換えを開始できるか否かは謎であった。我々は、ニワトリ抗体遺伝子の相同組み換えによる多様化は、1重鎖ギャップによって開始されることを証明した。そしてNBS1は、1重鎖ギャップの幅を拡げることによって、相同組み換えを促進することを示した。抗がん剤、シスプラチンが複製をブロックしたときに、2重鎖切断のみならず、1重鎖ギャップが大量に形成される。NBS1は、このギャップを修復するのに重要であることが示唆された。 #CEP63の機能解析(Smith E., et al., Nature Cell Biol. 2009) 放射線治療によって2重鎖切断が生じると、ATMなどのキナーゼが活性化され、最終的に細胞死などが誘導される。イギリスのグループが、ATMの基質の1つとしてCEP63を単離した。我々は、彼等との共同研究として、CEP63の機能解析を実施し、CEP63が放射線照射によって生じるM期カタストロフィーの防止に重要な役割を持つことを解明した。発表論文では、我々の教室のタイ人院生が第2著者になった。 #メダカの遺伝子破壊の効率化 1遺伝子破壊に100万円の費用がかかる。基生研と共同して、次世代シークエンサーを用い、遺伝子破壊の費用を低下させる為の努力を行なっている。
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