研究課題
(1-1) CTIPの機能解析CTIPは、BRCA1(家族性乳がん原因遺伝子で相同組み換えに関与)と結合する。CTIP完全欠損細胞とBRCA1と結合できないCTIP S332A発現細胞とを作った。そしてCTIPが、BRCA1依存的およびBRCA1非依存的に機能するDNA修復をそれぞれ解明することを試みた。以下の2点を解明した:(i) CTIPがBRCA1非依存的に相同組換えの最初のステップに機能する。(ii) CTIPがBRCA1依存的に、トポイソメラーゼポイズンと呼ばれる抗がん治療薬によって生じた2重鎖切断(切断端にトポイソメラーゼが共有結合)を修復するのに特異的に関与(共有結合したポリペプチドを除去)する。この研究成果は、PLoS Geneticsに発表した。(1-2) SSB1とSSB2の機能解析SSB1-/-細胞とSSB2-/-細胞とをそれぞれ作製した。これからSSB1-/-/SSB2-/-2重遺伝子破壊細胞を作製する予定である。(2) エトポシドによって生じたDNA損傷の修復経路の解明エトポシドは、トポイソメラーゼIIポイズンと呼ばれる抗がん剤であり、5'切断端にトポイソメラーゼが共有結合2重鎖切断を作る。この2重鎖切断を修復するには、通常の2重鎖切断修復経路(非相同末端結合)の他に、BRCA1、CTIP、RAP80、Tdp2が関与して2重鎖切断を修復することを解明した。(3) P53の変異抑制効果の解析P53遺伝子破壊メダカ(F2)を飽和変異法によって作製した。飽和変異法は、P53遺伝子以外の遺伝子(約20種類)も破壊されている。P53遺伝子以外の破壊遺伝子を除去するために、P53遺伝子破壊メダカを野生型メダカに10回戻し交配した。その結果できたP53遺伝子破壊メダカ(F10)は、F2よりも発がん率が低下していたが、野生型メダカよりは発がん率が高いことを確認した。
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