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2008 年度 実績報告書

突然変異誘導因子AIDによる発がん機構

研究課題

研究課題/領域番号 17013042
研究機関滋賀県立成人病センター(研究所)

研究代表者

木下 和生  滋賀県立成人病センター(研究所), 遺伝子研究部門, 専門研究員 (50293874)

キーワード突然変異 / 体細胞突然変異 / クラススイッチ組換え / AID / Creリコンビナーゼ
研究概要

発がん過程における突然変異の原因はよくわかっていない。ヒトゲノムに存在する唯一の遺伝子変異誘導酵素であるAIDのトランスジェニックマウスではTリンパ腫と肺癌、肝臓癌、胃癌が生じたことから、発がんにおける遺伝子変異にAIDが関与する可能性が示唆された。また、肝炎ウイルスやヘリコバクターピロリ菌により誘発される慢性肝炎や慢性胃炎といったヒトの前がん状態においてAIDの発現が認められたことからヒト発がんにAIDが関与していることが示唆された。AIDはApobec核酸編集酵素ファミリーに属する酵素であり、DNAを基質とするかRNAを基質とするかについて議論されている。AIDを発現する細胞に紫外線を照射しタンパクと核酸を架橋した直後にmRNAを分離し、AIDタンパクがともに回収されたか検討する実験により、AIDとmRNAの結合が確認された。この結合にはAIDのカルボキシル末端の抗体遺伝子クラススイッチ組換え誘導活性に必須の領域を必要とし、別の分子を介した間接的なものであることが明らかになった。このような間接的なRNA結合活性はRNA編集酵素であるApobec-1にも認められるものであり、AIDが未知のmRNAへの結合と編集活性により、クラススイッチを誘導している可能性が示唆された。同様の機構により発がんにおける遺伝子変異を誘導しているものと考えられた。また、潰瘍性大腸炎より発症したヒト大腸癌においてAIDの発現が認められることを報告し、慢性炎症を背景とした消化器系のがんにおけるAIDの関与をより証拠づける結果となった。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A novel mouse model of hepatocarcinogenesis triggered by AID causing deleterious p53 mutations2009

    • 著者名/発表者名
      Takai, A., et al.
    • 雑誌名

      Oncogene 28

      ページ: 469-478

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Activation-induced, cytidine deaminase links between inflammation and the development of colitis-associated colorectal cancers2008

    • 著者名/発表者名
      Endo, Y., et al.
    • 雑誌名

      Gastroenterology 135

      ページ: 889-898

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Carboxy-terminal domain of AID required for its mRNA complex formation in vivo2008

    • 著者名/発表者名
      Nonaka, T., et al.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci USA 106

      ページ: 2747-2751

    • 査読あり
  • [学会発表] 内在性変異原AIDによる抗体とがん細胞の進化2008

    • 著者名/発表者名
      木下和生
    • 学会等名
      第80回日本遺伝学会大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20080800
  • [学会発表] 発癌過程における遺伝子異常生成へのActivation-induced cytidine deaminase (AID)の関与2008

    • 著者名/発表者名
      遠藤容子, 他
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会・第81回日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2008-12-11
  • [学会発表] Activation-induced cytidine deaminase serves as a link between inflammation to colitis-associated colorectal cancers2008

    • 著者名/発表者名
      Endo Y., et al.
    • 学会等名
      第67回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2008-10-29
  • [学会発表] A novel mouse model of hepatocarcinogenesis triggered by activation-induced cytidine deaminase (AID)2008

    • 著者名/発表者名
      Takai A., et al.
    • 学会等名
      第67回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2008-10-28
  • [備考]

    • URL

      http://homepage.mac.com/kkinoshi/lab/

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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