1)分裂酵母の機能構造解析:ヒトおよび分裂酵母を含めて広く保存されているPot1蛋白質は、テロメア末端にあるグアニンに富む-本鎖DNAに結合し、テロメレース反応を制御するが、その詳細は明らかではない。Flag-Potを発現する分裂酵母株よりPot1複合体を精製し、Pot1に結合する新規因子Pax1とPoz1、既知であるがPot1複合体との関連が知られていなかった因子Ccq1を同定した。Ccq1は、テロメレースのリクルートに関与していることが明らかし、Ccq1を介したPot1複合体とテロメレースとの物理的相互作用の存在が示唆された。 2)テロメレース非依存的テロメア維持機構の解明:テロメレース非依存的テロメア維持機構(ALT;alternative lengthening of telomeres)は、DNA組換えによるテロメーレス非依存的テロメア伸長機構であり、肉腫において数十%の症例で見られる。ALTによるテロメアDNAの組換え反応には種々の非典型的テロメアDNAが関わることが予想されていたが、2次元電気泳動を用いることで、染色体外DNAも含めた種々のALT特異的テロメアDNAの存在を明らかにすることができた。
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