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2005 年度 実績報告書

肝炎ウイルスによる肝炎・肝がんの発症機構と予防

研究課題

研究課題/領域番号 17013045
研究機関京都大学

研究代表者

下遠野 邦忠  京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10000259)

キーワードHCV / 肝がん / 持続感染 / 複製 / 抗ウイルス剤 / サイクロスポリン / シクロフィリン
研究概要

C型肝炎ウイルス(HCV)感染より引き起こされる慢性肝炎は肝がん発症のリスクファクターである。またこれまでの臨床研究の成果から、本ウイルスの持続感染が疾患の病態の進展に寄与することが明らかである。本研究では、発症予防の観点から、HCV複製を阻害する物質の探索を行い、サイクロスポリンがウイルスゲノム複製を強く抑制することを明らかにした。また、その機構を解析し、サイクロスポリンの持つ免疫抑制作用ではない働きが複製抑制に重要であることを見いだした。サイクロスポリンはシクロフィリンと結合してその作用を抑制する。抗HCV作用について解析を行い、シクロフィリンBの作用をサイクロスポリンが抑制し、そのことがHCVゲノム複製を抑制することを見いだした。詳細な解析の結果、シクロフィリンBはウイルスポリメラーゼ活性を促進するが、サイクロスポリンによりその過程が阻害されることが、抗HCV作用の原因であると考えられた。近年HCV感染による肝機能不全のために肝臓移植を受ける患者が増えている。これらの患者では、移植後に再び肝炎を発症するために、抗HCV剤を用いた抜本的な治療が必要である。シクロスポリンとインターフェロンを同時投与することで抗ウイルス活性を増強させることができることを培養細胞を用いて示した。さらに免疫抑制作用のないサイクロスポリン誘導体の一つにも強い抗HCV作用を見いだし、本薬剤が慢性肝炎患者に対して抗HCV効果を示すことが期待される。
一方、マイクロRNAの発現の違いとがん化との関連を調べるために、肝がん組織と正常組織との間で比較し、特定のマイクロRNAの発現に違いが存在することを明らかにした。今後変化の見られたマイクロRNAとがん化あるいはがん状態の維持との関連を調べる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (6件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Analysis of the 5' end structure of HCV subgenomic RNA replicated in a Huh7 cell line.2005

    • 著者名/発表者名
      Takahashi H. et al.
    • 雑誌名

      Intervirology. 48

      ページ: 104-111

  • [雑誌論文] Role of cyclophilin B in activation of interferon regulatory factor-3.2005

    • 著者名/発表者名
      Obata Y. et al.
    • 雑誌名

      J Biol Chem. 280

      ページ: 18355-1836

  • [雑誌論文] Genetic variation and dynamics of hepatitis C virus replicons in long-term cell culture.2005

    • 著者名/発表者名
      Kato N.et al.
    • 雑誌名

      J Gen Virol. 85

      ページ: 645-656

  • [雑誌論文] Suppression of hepatitis C virus replicon by TGF-beta.2005

    • 著者名/発表者名
      Murata T. et al.
    • 雑誌名

      Virology. 331

      ページ: 407-417

  • [雑誌論文] Interferon resistance of hepatitis C virus replicon-harbouring cells is caused by functional disruption of type I interferon receptors.2005

    • 著者名/発表者名
      Naka K.et al.
    • 雑誌名

      J Gen Virol. 86

      ページ: 2787-2792

  • [雑誌論文] Cyclophilin B is a functional regulator of hepatitis C virus RNA polymerase.2005

    • 著者名/発表者名
      Watashi K. et al.
    • 雑誌名

      Mol Cell. 19

      ページ: 111-122

  • [産業財産権] サイクロフィリンを用いた抗HCV剤のアッセイ方法2005

    • 発明者名
      下遠野 邦忠他
    • 権利者名
      京都大学, 塩野義製薬(株)
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2005/017518
    • 出願年月日
      2005-09-22

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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