生後1年〜1年半以内に進行性の免疫不全と続発性の骨髄性白血病を発症するSPA-1遺伝子破壊マウス(SPA-1-/-マウス)を用いて白血病発症における免疫監視機構の関与を明らかにするため、獲得免疫および自然免疫系について解析を行った。獲得免疫系の関与については、RAG2遺伝子破壊マウスとの掛け合わせを行っており、現在進行中である。一方、自然免疫系に関してはSPA-1-/-マウス由来細胞株を用いた実験から、SPA-1欠損により活性化型Rap1が蓄積することにより、タイプI型インターフェロン誘導細胞死に対し、抵抗性を示すようになることが明らかとなった。この現象は、SPA-1-/-マウス由来骨髄細胞でも観察されており、SPA-1-/-マウスにおける骨髄性白血病発症に自然免疫系を介した免疫監視機構からの回避が関与している可能性が強く示唆された。現在、活性化型Rap1によるインターフェロンシグナル阻害の詳細な分子メカニズムについて解析を進めるとともに、各種インターフェロンシグナル改変動物とSPA-1-/-マウスを掛け合わせ、白血病発症に関わるインターフェロによる免疫監視の関与について解析を開始した。 SPA-1-/-マウスでは免疫不全と白血病発症の他、B1a細胞の増加に伴う自己抗体産生を特長とする自己免疫疾患を発症することが明らかになっていたが、その分子メカニズムとして蓄積した活性化型Rap1によるOcaB転写因子の誘導が関与していることを明らかにした。
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