研究課題/領域番号 |
17013053
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
花岡 文雄 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (50012670)
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研究分担者 |
横井 雅幸 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助手 (00322701)
岩井 成憲 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (10168544)
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キーワード | 損傷乗り越え複製 / DNAポリメラーゼ・イータ / 複製フォーク停止 / 色素性乾皮症バリアント / ノックアウトマウス / REV1 |
研究概要 |
研究代表者らは、損傷乗り越え複製(translesion synthesis)機構を総合的に理解し、発がんおよび発がん防御における役割を明らかにすることを目的として、以下に述べる研究を行った。 1、タグ付きDNAポリメラーゼη(Polη)を発現する細胞株を樹立し、それを大量に培養して、Polηタンパク質複合体を精製した。質量分析法により構成サブユニットの同定を行い、多数の既知あるいは機能未知のタンパク質が見出された。既知のものについては抗体を用いて確認した。メジャーなタンパク質として、Rad18およびRad6、そしてRev1が見出された。 2、細胞を分画し、Polηおよびそれと相互作用するタンパク質の局在を調べたところ、紫外線照射後、クロマチン画分におけるPolηと共沈するRad18/Rad6、そしてRev1が増加した。この増加は過剰チミジン処理による二回同調やヒドロキシウレア処理によるDNA合成阻害によっても見られ、基本的に複製フォークの停止がこれらのタンパク質のクロマチン上における複合体形成を促進することが明らかとなった。 3、既に作成しているPolηノックアウトマウスの解析を進め、2,000J/m2のUVB照射により観察される腫瘍は、そのほとんどが扁平上皮がんであること、また、UVBの線量を400J/m2に下げても、ほぼ同時期に同程度の皮膚がんの形成が見られることを認めた。これらの点から、ヒト色素性乾皮症バリアント群患者のマウスモデルが出来たと判断した。 4、細胞内におけるREV1とPolηの相互作用の意義を知るため、これらのタンパク質の細胞内の挙動をGFPタグなどを利用して調べたところ、REV1の紫外線照射部位への集積は、機能的なPolηの存在に依存していることを見いだした。このことから、少なくとも損傷部位にPolηが先に到着し、そこへタンパク質間相互作用によってREV1がリクルートされるという図式が考えられる。
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