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2009 年度 実績報告書

タンパク質分解異常による発がん機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17013067
研究機関九州大学

研究代表者

中山 敬一  九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)

キーワード細胞周期 / p27 / c-Myc / ユビキチン化 / アポトーシス / Fbw7 / p53 / コンディショナルノックアウトマウス
研究概要

われわれはマウス個体を用いて、GO期制御のメカニズムを研究している。昨年度までに、SCF複合体型ユビキチンリガーゼであるSCF/Skp2とSCF/Fbw7がこの制御に重要であることを報告してきた。特に細胞の増殖はSkp2とFbw7で正負にコントロールされており、これが幹細胞機能に重要であること、さらにSkp2-p27、Fbw7-Mycの両軸に障害が生じると発癌することを明らかにしてきた。本年度は実際にマウスFbw7遺伝子を種々の臓器で誘導的に破壊することによって、そのマウスにどのような異常が生じるのかという点につき、特に発癌を視野に入れて研究を進めた。まず乳腺組織においてFbw7コンディショナルノックアウトマウスを作製した。このマウスはBlgプロモーター下にCreを発現するので、妊娠による乳腺の発達によってFbw7遺伝子の破壊が起こるようにしてある。その結果、乳腺組織は強い低形成を示し、腺上皮の機能不全による授乳障害が観察された。つまりこのノックアウトマウスから生まれた仔マウスは全例栄養失調で死亡することがわかった。さらに免疫染色法によってc-Mycの蓄積やp53の誘導が認められ、それに呼応してアポトーシス細胞の著しい増加が起こることが明らかとなった。しかしp53の欠損が起こったマウス個体では一転して発癌を呈することが明らかとなった。つまりFbw7の欠損はc-Mycの分解障害を起こし、c-Mycの蓄積によるp53の発現上昇が起こってアポトーシスが誘導され、その結果として乳腺組織の縮小が起こるが、何らかの理由により(一定の確率により)p53の機能が喪失すると、c-Mycの蓄積が発癌を引き起こすものであることが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] KDM7 is a dual demethylase for histone H3 lysines 9 and 27 and functions in brain development2010

    • 著者名/発表者名
      Tsukada, Y., Ishitani, T., Nakayama, K.I.
    • 雑誌名

      Genes & Development 24

      ページ: 432-437

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Promotion of neurite extension by protrudin requires its interaction with VAMP-associated protein (VAP)2009

    • 著者名/発表者名
      Saita, S., Shirane, M., Natume, T., Iemura, S., Nakayama, K.I.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 284

      ページ: 13766-13777

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fbxo45 forms a novel ubiquitin ligase complex and is required for neuronal development2009

    • 著者名/発表者名
      Saiga, T., Fukuda, T., Matsumoto, M., Tada, H., Okano, H.O., Okano, H., Nakayama, K.I.
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Biology 29

      ページ: 3529-3543

    • 査読あり
  • [学会発表] Comprehensive elucidation of enzyme-substrate relationship in ubiquitylation by differential proteomics : Say good-bye to western blotting2010

    • 著者名/発表者名
      Nakayama, K.I.
    • 学会等名
      Biology of the ubiquitin and the ubiquitin-like systems
    • 発表場所
      エルサレム
    • 年月日
      2010-03-14
  • [備考]

    • URL

      http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/index.html

  • [産業財産権] タンパク質の定量方法2009

    • 発明者名
      中山敬一, 松本雅記
    • 権利者名
      国立大学法人九州大学
    • 産業財産権番号
      特願2009-169045
    • 出願年月日
      2009-07-17

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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