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2008 年度 実績報告書

細胞分裂の制御とその破綻による発がん機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17013070
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

佐谷 秀行  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80264282)

キーワード細胞・組織 / 病理学 / シグナル伝達 / 癌 / 蛋白質
研究概要

細胞分裂は染色体と細胞質内の要素を正確に二分する重要なステップである。したがって細胞分裂をひかえたG2期からM期進行の調節機構破綻は細胞の形質にドラスティックな変化を引き起こし、ゲノムの不安定化を誘発する。本研究はG2/M期における細胞周期進行制御の分子機構の解析とその破綻による腫瘍化のメカニズムを明確にし、最終的にはがん治療のための標的を見出すことを目的として行った。以下に具体的な成果を示す。
1) G2/M期制御破綻の腫瘍化における意義を明確にするために、Aurora-A乳腺特異的過剰発現マウスを作製した。その結果、分裂異常が誘導されて、多核細胞が多数出現するがp53依存性細胞死が誘導されて腫瘍は生じないことが分かった。そこでAurora-A乳腺特異的過剰発現マウスとp53欠損マウスを交配したところ、過形成は発生したが今度はp16依存性の細胞老化が誘導されたために、腫瘍化には至らなかった。
2) 癌細胞がタキソールなど微小管作動薬によって分裂期で長期停止した場合、細胞内でのエネルギー代謝が変化し、活性酸素が異常に上昇し、それが原因となって細胞死が誘導されることが分かった。また、活性酸素の下流でAskl、p38MAPキナーゼ、HSP27の経路が活性化し、それが原因で細胞死が起こっていることが明らかになった。
3) 分裂期のタンパク質分解を制御するCdh1遺伝子の不活化マウス及びノックインマウスの作成を終了した。Cdh1ホモ不活化マウスは胎生致死であったが、その原因は胎盤の巨細胞形成不全にあることが分かった。また、このマウス作成によってCdh1活性が生理的なendoduplication(多倍体化)に関与することが明らかになった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Reversible whole-organism cell cycle arrest in a living vertebrate2009

    • 著者名/発表者名
      Sampetrean O., et.al.
    • 雑誌名

      Cell Cycle 8

      ページ: 620-627

    • 査読あり
  • [雑誌論文] K858, a novel inhibitor of mitotic kinesin Eg5 and antitumor agent, induces cell death in cancer cells2009

    • 著者名/発表者名
      Nakai R., et.al.
    • 雑誌名

      Cancer Research (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Aurora-A overexpression induces cellular senescence in mammary gland hvnernlastic tumors developed in n53-deficient mice2008

    • 著者名/発表者名
      Zhang D., et.al.
    • 雑誌名

      Oncogene 27

      ページ: 4305-4314

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular mechanism of cell death induced by anti-cancer drugs2008

    • 著者名/発表者名
      Saya H
    • 学会等名
      The 15^<th> Takeda Science Foundation Symposium on Bioscience
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-12-03
  • [学会発表] 抗がん剤による細胞死の分子機構2008

    • 著者名/発表者名
      佐谷秀行
    • 学会等名
      第5回婦人科がん会議
    • 発表場所
      宇都宮
    • 年月日
      2008-05-23
  • [備考]

    • URL

      http://genereg.jp/index.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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