研究課題/領域番号 |
17013086
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
中村 卓郎 (財)癌研究会, 発がん研究部, 部長 (00180373)
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研究分担者 |
鶴山 竜昭 京都大学, 医学研究科病理系 法医学教室, 講師 (00303842)
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キーワード | レトロウィルス挿入変異 / 協調遺伝子 / 骨髄性白血病 / 悪性リンパ腫 / ホメオボックス遺伝子 |
研究概要 |
発がんにおける遺伝子間相互作用と多段階発がんにおける分子経路を明らかにすることを目的とし、レトロウィルス挿入変異を用いた発がん誘導実験を行いレトロウィルスにより活性化する遺伝子の協調作用を解析した。昨年度までに、急性骨髄性白血病(AML)の発症においてHoxa9とMeis1に協調する遺伝子としてTrib 1とEvi 1を同定した。Trib 1がMAPKのリン酸化を亢進することをTrib 1陽性AMLをIL-3により刺激して確認したが、さらにTrib 1はIL-3欠乏時におけるMAPKリン酸化を遷延させて、その結果白血病細胞のアポトーシスを阻害することがわかった。Hoxa9とMeis 1及びTrib 1単独の遺伝子導入により発症したAMLでは特異的な協調遺伝子の活性化が確認されたのに対して、Hoxa9/Meis 1/Trib 13者によるAMLでは、更なる特異性の高い協調遺伝子は認められず、AMLの進展に伴って遺伝子間の相互作用は特異性が低くなる傾向が示された。 Apc遺伝子のヘテロ変異を有するMinマウス由来大腸上皮細胞株にレトロウィルスを導入して、軟寒天培地でコロニー形成を誘導した。これらの形質転換コロニーから共通挿入部位を発見し、Apc変異に協調作用を示す遺伝子候補を同定した。 B細胞受容体シグナル経路においてアダプターとして機能しているBash遺伝子のホモノックアウトマウスはpre-B細胞の分化異常とpre-B-ALLが生じ、 BashはALLのがん抑制遺伝子と考えられている。Bashホモノツクアウトマウスにモロニー白血病ウィルスを接種してpre-B-ALL発症が促進することを見出した。7種類の共通挿入部位を同定しBash変異に協調する遺伝子候補を同定した。 レトロウィルス挿入変異部位のシークエンス特異性にっいて検討し、RNAの二次構造との関連性を示唆されていたが、in vitroにおいて逆転写酵素とレトロウィルスLTRを用いて実際にヘアピン構造が予測される塩基配列に高頻度でウィルス挿入が生じることを見出した。
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