研究課題/領域番号 |
17013090
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研究機関 | 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター) |
研究代表者 |
牛島 俊和 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 発がん研究部, 部長 (90232818)
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研究分担者 |
守口 和基 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 発がん研究部, 研究員 (30294523)
阿部 雅修 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 発がん研究部, 研究員 (10392333)
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キーワード | 胃がん / DNAメチル化 / ゲノム / エピジェネティクス / サイレンシング |
研究概要 |
ヒト胃がんのゲノム網羅的なDNAメチル化異常の検索により、これまでに、Lysyl oxidase (LOX)を新たな胃がん抑制遺伝子として同定した。その過程で、(a)一部のヒト胃がん細胞株では、CpGアイランド内の幾つかのCpG部位に散在性のメチル化が持続的に誘発されること(「メチル化の種」の産生増加)、(b)メチル化の種の産生増加は、一定の頻度で、CpGアイランド全体の高密度メチル化を誘発することを見出した。本年度は、メチル化の種の産生増加が、高度に転写されている遺伝子にもサイレンシングを誘発するか否かを明らかにするために、産生増加を示す胃がん細胞株2系統(AGS,KATO-III)と、示さない胃がん細胞株2系統(HSC39,HSC57)について、サイレンシングされる遺伝子数を計測した。これら細胞株を、脱メチル化剤5-aza-2'-deoxycitidine (5-aza-dC)により処理、発現回復する遺伝子をオリゴヌクレオチドマイクロアレイにより解析した。5-Aza-dCの処理濃度として、それぞれの胃がん細胞株について、DNAメチル基転移酵素を高度に低下させ、かつ、細胞増殖抑制が軽度な濃度を設定した。処理前は発現がほとんどなく、処理後に発現が16倍以上上昇する遺伝子について、処理前のプロモーター領域CpGアイランドの高密度メチル化を検討した。その結果、サイレンシングされる遺伝子数は、AGSおよびKATO-IIIでは、24個および41個であったのに対し、HSC39およびHSC57では、4個および1個であった。従って、メチル化の種の産生増加は、遺伝子が転写されていても、プロモーター領域CpGアイランドの高密度メチル化を誘発し、発現を抑制することが示唆された。
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