研究課題
(1)H.pyloriによるDNAメチル化異常誘発の遺伝子特異性ヒト胃がん細胞株でメチル化されうる遺伝子48個について、H.pylori感染者及び非感染者の胃粘膜でのメチル化の有無をMSP法による検索した。その結果、H.pylori感染により容易にメチル化される遺伝子と、ほとんどメチル化されない遺伝子とがあり、H.pylori感染によるDNAメチル化異常誘発には、遺伝子特異性が存在することが明らかになった。メチル化感受性及び抵抗性を決定している因子として遺伝子転写量が考えられたので、定量的RT-PCR法により解析を行い、抵抗性遺伝子の方が有意に高い転写レベルを示すことを見出した。さらに、H.pylori感染によりDNAメチル基転移酵素の発現上昇が誘導されるか否かを、定量的RT-PCR法とWestern blot法により解析したが、発現上昇は認められなかった。DNAメチル化異常誘発要因により、特異的な遺伝子のDNAメチル化異常が誘発されることを示した初めての報告である。(2)新規胃がん抑制遺伝子候補の同定新規胃がん抑制遺伝子を同定するために、AGS胃がん細胞株をDNA脱メチル化剤で処理、発現上昇を示した遺伝子の中から、正常胃粘膜で十分な量の発現を示す遺伝子を探索した。特に、もともと活性なコピーが1つしかなく、不活化される危険が高い遺伝子として、X染色体上の遺伝子について、上記の条件を満たすものを探索したところ、4個の遺伝子が該当した。それらのうち1遺伝子については、プロモーター領域CpGアイランドが胃がん細胞株でメチル化され、発現が消失していること、胃がん手術材料50個中17個でメチル化されていることを確認した。現在、siRNAによるノックダウンを行い、胃がん細胞株の増殖にどのような影響を示すか、解析中である。
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ページ: 905-910
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