研究課題
皮膚基底膜接着分子の遺伝的欠損が皮膚癌の浸潤、転移能に与える影響について検討することを目的に、表皮基底膜分子(XVII型コラーゲン)に遺伝子変異を有するEB患者から樹立した表皮角化細胞株および表皮基底膜分子ノックアウトマウスを用いて浸潤、転移能について検討した。1.SV40トランスフォームEB表皮角化細胞の浸潤性、走化性の解析SV40でトランスフォームしたEB患者由来角化細胞から培養表皮シートを作成、ヌードラットに移植し、局所浸潤、転移の動態について臨床的、組織学的に解析した。結果、作成された培養表皮シートは細胞に多型性を示したが、異型分裂像、癌真珠の形成など明らかな異型性は認めなかった。また、培養表皮シートをヌードラットに植皮したところ、移植片は生着した。組織を採取し各種基底膜接着因子の発現を免疫組織学的に検討したところ、XVII型コラーゲンの発現は認められなかったが、その他の接着分子の発現に異常は認められなかった。また、生着した表皮細胞が基底膜を破り、真皮へ浸潤する像は認められなかった。2.基底膜分子ノックアウトマウスを用いたガン細胞の浸潤性、走化性の解析XVII型コラーゲンノックアウトマウスの皮膚に化学発ガンあるいは紫外線照射による皮膚癌の誘発を試みた。結果、コントロールマウスと比較して誘発される頻度、時間に明らかな差異は認められなかった。また、誘発後約1ヶ月経過をみたが、真皮内への浸潤の点でもコントロールと比較して有意な違いは認められなかった。今後はガン細胞の発現する接着分子のプロファイル、発現量を検討するとともに、より長期間経過を追った際にコントロールと差がみられるか検討する予定である。
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