研究課題
血管内皮細胞が産生し、血管新生刺激によって誘導される新規血管新生抑制因子vasohibinの腫瘍血管新生における意義について研究し、以下のことを明らかにした。(1)vasohibin蛋白は腫瘍近傍の血管内皮細胞に局在している。特に、ヒト肺癌切除標本での検索から、腫瘍細胞のHIF-1αおよびVEGFの染色性と血管内皮細胞のvasohibin陽性率との間に有意の相関性があること、さらにvasohibin蛋白は癌患者の血液中にも存在し、その濃度は腫瘍組織の血管内皮細胞のvasohibin陽性率と有意に相関することを明らかにした。(2)vasohibinのプロセッシングと活性中心について解析し、vasohibinは血管内皮細胞において、翻訳された後、細胞内においてN末端の2箇所(29、76)のアルギニン残基で切断されること、29から76番目までのドメインが細胞外への分泌に重要であること、一方血管新生抑制活性はC末端側の切断により失われること、このC末端側には塩基性アミノ酸が多く、ヘパリンに対して高親和性であることを明らかにした。(3)vasohibinと結合する低分子量蛋白を単離・同定し、SVBP(small vasohibin binding proteinと命名した。(4)vasohibinとアミノ酸配列上50%以上相同で、同じく血管新生抑制活性を有する分子を同定した(vasohibin-2と呼称)。また、その発現パターンをprototype vasohibin (vasohibin-1)と比較し、vasohibin-2も血管内皮細胞に発現することを明らかにした。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Biochem.Biophys.Res.Commun. 342
ページ: 640-646
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