研究概要 |
骨髄の造血微小環境を培養系で再構成するために、骨髄間質細胞株をフィーダーとして用いて、幹細胞維持培養系、ミエロイド系列へ誘導する共培養系、およびBリンパ球系列へ誘導する共培養系を確立した。 そして、間質細胞依存的に未分化状態が維持される造血前駆細胞株としてDFC-28細胞を樹立し、間質細胞が直接的な接着により未分化血球細胞の可逆的が分化のスイッチを制御していることを示した。この可逆的な分化のスイッチの制御に働く因子として、間質細胞側のEphB4と、血液細胞側のephrin-B2の相互作用が重要であることを明らかにした。 間質細胞側制御遺伝子として多数の間質細胞の造血支持機能と対応して発現している遺伝子として新規のミオシンとしてMysPDZ(Myo18として分類された)を同定した。MysPDZは、PDZ,KEドメインを欠いたisoformが、神経細胞、筋細胞、血液細胞で組織特異的に発現していること、とくに、筋分化に伴って誘導されるisoformがあり、その過剰発現はfilopodia形成など細胞形態に大きな変化を与えることを見いだした。また、MysPDZがactinと結合することを示し、その結合はこれまで同定されていないN-末端の新規のドメインによっていることを発見した。 さらに、造血支持に関与する遺伝子を探索するため、造血支持機能の異なる多様な間質細胞株を用いて遺伝子発現プロファイルのマイクロアレイ解析を行い、造血支持機能に働く候補遺伝子としてtenescin Cを同定し、SiRNAによる機能阻害実験により、tenescin Cが赤血球造血の重要な制御因子であることを明らかにした。
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