研究課題/領域番号 |
17014010
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
的崎 尚 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (80252782)
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研究分担者 |
大西 浩史 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (70334125)
岡澤 秀樹 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (80334126)
村田 陽二 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (60400735)
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キーワード | 癌 / 酵素 / シグナル伝達 / 生体分子 |
研究概要 |
がんの生物学的特性である無制限な増殖能や浸潤・転移能を分子レベルで理解するために、本研究ではチロシンホスファターゼとこれに関連する分子群の生理機能とがんにおける異常につき検討した。受容体型の分子SHPS-1は、その細胞内領域にチロシンホスファターゼであるSHP-1およびSHP-2を結合させると共に、その細胞外領域はやはり受容体型の分子CD47と相互作用し双方向性にシグナルを伝える。これまで、CD47-SHPS-1系が細胞骨格の制御を介して細胞形態や細胞運動をダイナミックに制御することを明らかにしてきた。SHPS-1は樹状細胞に高度に発現するが、SEPS-1 KOマウスでは、実験的自己免疫性脳脊髄炎やコラーゲン誘導性関節炎の発症が著しく抑制される。これは、SHPS-1 KOマウス由来樹状細胞によるCD4陽性T細胞のTh1.7あるいはTh1への分化が障害されていることに起因している可能性が高い。また、α-GalCer刺激によるNKT細胞の腫瘍転移抑制効果を検討したところ、SHPS-1 KOマウスにおいて腫瘍転移抑制効果の有意な減弱が認められた。これは、SHPS-1 KOマウスにおいて樹状細胞によるNKT細胞の活性化が障害されているためと推察された。受容体型チロシンホスファターゼであるSAP-1が、消化管上皮細胞の微絨毛に特異的に発現することを見出した。さらに、SAP-1のKOマウスを作成し解析したところ、小腸微絨毛の形態に異常を認めなかったものの、Apc min+マウスとの交配による腫瘍形成において腫瘍数の低下を認めた。現在、さらにSAP-1の機能につき解析中である。
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