研究課題
我々は細胞膜タンパク質D1kの発現を指標に未分化細胞を分離・培養する系を確立して肝細胞の増殖分化のメカニズムの解析を行ってきた。その一環として胎生肝臓の中皮細胞の肝発生における機能を解析した。シアロムチンであるPCLP1が胎生肝臓の中皮細胞に強く発現しており、発生が進むにつれて減弱し、成体肝臓では消失すること、一方、mesothelinの発現は発生に伴い増大することから、これらの発現を指標に異なる分化段階の中皮細胞を分離することが可能となった。そこで、遺伝子発現解析を行ったところ、胎児期の中皮細胞が肝細胞の増殖因子を多数発現すること、中皮細胞と胎生肝細胞との共培養系で中皮細胞が肝細胞の増殖を促進することを見いだした。すなわち、中皮細胞は単なる臓器の保護膜ではなく、器官形成に積極的に関与することが明らかになった。また、肝発生過程におけるHedghogシグナル系の関与、成体肝臓での薬剤による肝幹・前駆細胞の誘導におけるWntシグナル系の関与なども明らかにした。さらに、肝芽細胞に発現する細胞膜タンパク質D1kの機能解析を行い、D1kに結合する細胞膜タンパク質としてcysteine rich FGF receptor(Cfr)を同定した。CfrはFGF18とFGF受容体の結合を正に制御し、D1kはそれを抑制することを見いだした。
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