1)TRAF6を介するIL-1シグナルによるNF-kB活性化には、TRAF6のRINGドメインによって触媒されるTAK1-Lys-209へのLys-63型ポリユビキチン鎖の付加に依存したTRAF6/MEKK3/TAK1シグナル複合体形成によって誘導される初期活性化と、RINGドメインにもTAK1にも依存せずTRAF6によるMEKK3の多量体化によって誘導されるMEKK3の活性化とそれによって誘導される後期活性化の2相性があることを示した。さらにNF-kB標的遺伝子には、後期活性化に依存する群と依存しない群に分かれることが判明し、2相性の生物学的重要性が示されたがその分子機構は不明であり、今後2群の遺伝子の発現制御機構の違いを追求していく予定である。 2)IKK複合体の構成因子については、NF-kB活性化に関与すると想定される新規タンパク質を複数同定している。そのうちの一つは、ノックダウンによりTNFaやIL-1刺激によるNF-kB活性化を顕著に促進することから、通常は負の制御因子として機能している可能性が考えられた。現在その分子機構と生理的な役割を解析中である。 3)RANKのHCR領域に結合しTRAF6と協調して働くタンパク質を探索しており、野生型とHCR欠失変異体に結合するタンパク質の差異を利用してHCR特異的結合タンパク質を同定中である。 4)SRIkBaを発現するアデノウイルスを一過性に感染させた細胞を用いてNF-kB標的遺伝子候補を複数同定した。これらの遺伝子産物を遺伝子発現プロファイルをもとに分類されるBasa1型とLumina1型乳癌細胞株に過剰発現させた細胞株を樹立した。現在これらの細胞株の悪性度を培養系とマウス個体との両方で解析している。
|