研究課題/領域番号 |
17014034
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
多久和 陽 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60171592)
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研究分担者 |
杉本 直俊 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (80272954)
吉岡 和晃 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (80333368)
多久和 典子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (70150290)
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キーワード | SIP / Edg受容体 / がん / 浸潤 / 転移 / 遊走 / Rac / Rho |
研究概要 |
スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は、Edgファミリーの細胞膜受容Edg-1,2,3を介して、細胞運動、増殖、サバイバルなどを制御する多機能生理活性脂質である。マウス尾静脈注入後転移モデルにおいて、S1PはB16メラノーマ細胞の肺転移と肺微小血管内腫瘍塞栓形成を抑制した。しかし、Edg1受容体の特異的アゴニストであるSEW2871は肺転移を逆に促進した。さらに、強力なEdg1受容体脱感作薬であるFTY720の前投与は、SEW2871による肺転移促進効果を阻害した。これらの結果から、S1PはEdg1受容体を介して肺転移を促進し、Edg1受容体以外のS1P受容体を介して肺転移を抑制することが示唆された。B16メラノーマ細胞はS1P_1を発現しないので、SEW2871の促進作用は宿主のEdg1受容体を介すると考えられる。一方、S1Pは転移抑制作用も有するが、この作用がいずれのS1P受容体を介するものであるかを、Edg5ノックアウト(KO)マウス及びEdg3-KOマウスを用いて検討中である。Edg5はがん細胞の遊走、浸潤を抑制する。Edg5-KOマウス及び野生型マウスにB16メラノーマ細胞及びルイス肺癌細胞をマウス皮下に同種移植して、局所の腫瘍増殖、腫瘍血管新生、リンパ行性転移検討した。野生型マウスに比較して、Edg5-KOマウスでは腫瘍の局所増殖、腫瘍血管新生、リンパ行性転移の促進が観察された。Edg5に特有の細胞内シグナル伝達能に着目して、ある種のキナーゼ阻害薬の効果を検討中である。宿主におけるS1P産生レベルの高低が腫瘍の増殖、腫瘍血管新生、転移に及ぼす効果を解明する目的で、S1P分解酵素S1Pリアーゼ(SPL)トランスジェニック(SPL-Tg)マウス及びS1P合成酵素SphK1-Tgマウスを用いて検討中である。SPL-Tgマウスでは、新生腫瘍血管の数と血管成熟の抑制が観察された。
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