研究課題
細胞死・細胞増殖に関わる新規遺伝子・蛋白質として同定したVCP蛋白質及びそのco-factorについて解析を行い、以下の諸点を明らかにした。すなわち、VCP蛋白質内の18箇所のセリン、14箇所のスレオニン、6箇所のチロシンがリン酸化を、22箇所のリジンがアセチル化修飾を受けていることを見出した。この中には、これまで機能が良くわからなかったD2a領域内の14箇所の修飾を受けるアミノ酸が含まれる。その中で696番目のリジンと761番目のスレオニンに対して幾つかのアミノ酸置換体を構築し、そのATPase活性を測定した。その結果、696番目のリジンのアセチル化と761番目のスレオニンのリン酸化によっていずれもATPase活性が上昇することを示唆する結果を得た。さらに、このリン酸化を受けた761番目のスレオニンを特異的に認識する抗体を作成し、細胞を免疫染色すると、間期ではセントロゾームが、M期前期では紡錘体極が、特異的に染色されることが明らかになった。これらの結果は、VCPはD2a領域のアミノ酸修飾を介してATP活性の調節と局在の調節を受けることを示唆している。次にGFP-VCPを発現させ、M期のHeLa細胞に対して共焦点顕微鏡を用いたタイムラプス解析を行った。M期前期では、紡錘体極にGFPシグナルの集積が認められ、このGFPシグナルをフォトブリーチングで消去すると約20秒という時間でこの紡錘体極のGFPシグナルが回復したことから、紡錘体極に局在するVCPは、かなりの早さで入れ替わっていることが示唆された。これまでのsiRNAの解析で、VCPを子ノックダウンした細胞では、3つ以上の紡鍾体極をもつ細胞が出現することと併せて、VCPには正常な紡鍾体極の数を制御する機能があり、それに761番目のスレオニンのリン酸化が重要な働きをすることが示唆された。
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