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2008 年度 実績報告書

がん細胞の細胞死の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 17014043
研究機関京都大学

研究代表者

垣塚 彰  京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80204329)

キーワードVCP / ペウルオキシゾーム / カタラーゼ / ROS / 癌の悪性化 / 細胞内局在
研究概要

細胞死・細胞増殖に関わる新規遺伝子・蛋白質として同定したVCP蛋白質及びそのco-factorについて解析を行い、以下の諸点を明らかにした。すなわち、VCP蛋白質は、ペルオキシゾームの合成に関わる一群の蛋白質のうち、PEX19と物理的に相互作用することが明らかになった。HeLa細胞で、VCPまたはPEX19をノックダウンさせるとペルオキシゾーム局在シグナルを持つ蛋白質のうち、カタラーゼがペルオキシゾームから細胞質に拡散しているような蛍光像が得られた。このような現象は、これまで知られているVCPのco-factorのノックダウンでは、観察されなかった。細胞をいろいろなROSで処理した場合にも、カタラーゼが細胞質に局在移動すること、逆に、VCPを過剰発現させると、細胞内のROSの量が増加することを見いだした。我々は、VCPのATPase活性中心にある522番目のシステインが酸化されると失活することを以前に示ており、これらの結果は、VCPはPEX19と協調してカタラーゼのペルオキシゾームへの運搬を担っていること、細胞内のROS濃度が上昇するとVCPの522番目のシステインが酸化を受け、VCPのATPase活性が失活し、その結果カタラーゼのペルオキシゾームへの輸送が停止し、カタラーゼが細胞質に蓄積し、ROSの消去に働くことを示唆している。一方、これまでの解析からVCPの発現量が、癌の悪性化とよく相関していることが報告されている。癌腫においては、VCPの増加がカタラーゼのペルオキシゾームへの局在の増強を招き、結果として、細胞内のROS濃度が増強することによって、DNAの障害の程度が高進し、さらなる悪性化に寄与している可能性が推測された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] p97/valosin-containing protein (VCP) is highly modulated by phosphorylation and acetylation2009

    • 著者名/発表者名
      Alor i-Konva. C., et.al.
    • 雑誌名

      Genes Cells 14

      ページ: 483-497

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An inhibitor of deubiquitinating enzyme regulates ubiquitin homeostasis2009

    • 著者名/発表者名
      Kimura, Y., et.al.
    • 雑誌名

      Cell

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Roles of VCP in human neurodegenerative disorders2008

    • 著者名/発表者名
      Kaki zuka A.
    • 雑誌名

      Biochem. Soc. Trans. 36

      ページ: 105-108

  • [学会発表] 小胞体ストレスに対する新規応答機構 : Inhibition of rRNA synthesis in response to ER stress2008

    • 著者名/発表者名
      岡本暁彦、安田邦彦、垣塚彰
    • 学会等名
      BMB2008
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2008-12-11
  • [学会発表] ヒト子宮頸癌及び食道癌におけるVCP co-factor p47の発現上昇による浸潤能の獲得 : Overexpression of p47, a VCP co-factor, in potential acquisition of invasion activities in human esophageal and cervical cancer2008

    • 著者名/発表者名
      一戸勇弦、東前直樹、大泉宏、垣塚彰
    • 学会等名
      BMB2008
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2008-12-10
  • [学会発表] VCPはペルオキシソームマトリックスタンパク質の輸送と分解に関与する : VCP is involved in peroxisomal matrix protein import and degradation2008

    • 著者名/発表者名
      村上克洋、垣塚彰
    • 学会等名
      BMB2008
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2008-12-09
  • [学会発表] 分子が織りなす生命の不思議-どうして病気になるの? 運動しても肥満は防げない? がん・神経難病、肥満・糖尿病をめぐって-2008

    • 著者名/発表者名
      垣塚彰
    • 学会等名
      徳島県立総合大学校まな-びあ徳島開校記念講演
    • 発表場所
      徳島県立総合教育センター
    • 年月日
      2008-06-08

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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