研究概要 |
1.リンパ管内皮細胞の分化過程の解析 ES細胞をOP9細胞上で培養することで、LECを分化誘導することに成功した。この系を用いて、リンパ管分化にVEGF-C, Angiopoietin-2が必須であることを明らかにした。しかし、これら分子のみでは不十分で、必須因子がOP9の培養液内に存在することがわかった。また、Notch変異ES細胞を用いて、Notchシグナルが血管前駆細胞とリンパ管の分化を決定することも示した。(in revision) 2.リンパ管関連因子podoplaninのがん細胞での発現解析 podoplaninに対する抗体を作成した。組織アレイを用いて、がん細胞でのpodoplaninの発現とリンパ節転移が相関することを示した。(submitted) 3.リンパ管分化因子prox1のがん細胞での発現解析 prox1はがん細胞で発現することを発見した。膵臓がん、肝臓がん、肺がんでprox1はがん抑制遺伝子である可能性を示した。Prox1はがん細胞の増殖・トランスフォーメーションを抑制する。また、DNAチップ解析によって、prox1が制御する遺伝子を探索した。さらに、prox1は膵臓がん、食道がんでRNA編集を受けることを発見した。この変異によって、prox1は機能を失う。ゲノム遺伝子の変異でなく、RNAの変異によってもがんの悪性度に影響を及ぼすという新しい概念を提唱した。(submitted) 4.Podolanin陰性間質細胞は肝前駆細胞の未分化を維持する 胎児期(E13.5)の肝臓から、肝臓前駆細胞と2つの間質細胞を分離した。Podoplanin陽性細胞は肝臓前駆細胞の分化を誘導し、podoplanin陰性細胞は肝臓前駆細胞の未分化を維持することを示した。これら間質細胞とがん細胞との関連を調べている。(submitted)
|