研究課題/領域番号 |
17014055
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高井 義美 神戸大学, 医学研究科, 教授 (60093514)
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研究分担者 |
扇田 久和 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50379236)
力武 良行 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50419488)
富樫 英 神戸大学, 医学研究科, 助教 (90415240)
匂坂 敏朗 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80359843)
岡本 三紀 大阪府立成人病センター, 分子生物学部門, 研究員 (20332455)
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キーワード | ネクチン / Necl / アファディン / インテグリン / 増殖因子受容体 |
研究概要 |
がん化した細胞では細胞運動が亢進している。これまでに接着分子ネクチンに構造上類似するネクチン様分子(Necl)あるいはネクチンの細胞内領域に結合する分子アファディンが細胞運動の促進に重要な役割を果たしていること見出していたが、本年度の研究では、その分子機構についてさらに詳細に検討した。Neclファミリーメンバの一つであるNecl-5は細胞の運動先導端に集積し、増殖因子受容体の一つである血小板由来増殖因子(PDGF)受容体や細胞-基質間の接着を担うインテグリンの一つインテグリンαvβ3と三者複合体を形成しているが、この三者複合体が微小管の細胞内配向を制御して、運動先導端の形成を促進していることを明らかにした。また、三者複合体の安定性にアファディンが必要であることは以前報告したが、三者複合体による運動先導端の形成に必要な細胞内シグナル伝達、特に、低分子量Gタンパク質Racの活性化に、アファディンと結合する分子ADIPが重要であること、また、ADIPはRacの活性化因子Vav2と結合してRacの活性化を促進していることを見出した。ところで、がん組織では血管新生の増加が認められるが、アファディンを血管特異的にノックダウンしたマウスでは、血管新生が有意に抑制されることを見出した。このことは逆に、アファディンの作用を阻害することにより、細胞運動や血管新生を抑制して、がんの浸潤・転移を制御できる新たながん治療薬の開発にもつながり得る大きな成果であると考える。
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