研究課題/領域番号 |
17014062
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
南 康博 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70229772)
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研究分担者 |
依田 成玄 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70335454)
西田 満 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (30379359)
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キーワード | DNA損傷 / Chk1キナーゼ / Chk2キナーゼ / ATMキナーゼ / WIP1ホスファターゼ / チェックポイント機構 / 悪性腫瘍 |
研究概要 |
今年度の研究により、まずChk2キナーゼに加えて、Chk1キナーゼおよびATMキナーゼもWip1ホスファターゼとin vitroならびにin vivoで会合することが明らかになった。また、DNA損傷に伴いATM、Chk1、Chk2キナーゼのSQ/TQモチーフがリン酸化され、リン酸化ATM、Chk2キナーゼは核内フォーカスと呼ばれる点状の構造体を形成するが、この核内フォーカスはWip1ホスファターゼを構成的に発現させると消失することが示された。また、昨年度に引き続き、Chk2キナーゼとWip1ホスファターゼの詳細な構造・機能連関解析を行った結果、両分子の会合には、Chk2のSQ/TQモチーフに富むSQ/TQドメインおよびWip1のN末端側100アミノ酸残基からなるドメイン(ドメインA)が必要かつ十分であることが明らかとなった。しかしながら、完全長のchk2とWip1の会合には、Wip1のホスファターゼ活性は必要ないが、chk2のキナーゼ活性が必須であることが見い出された。加えて、Wip1のドメインAのみからなる変異体は、野生型Wip1が示すアポトーシス阻害効果に対して優性阻害性効果を発揮することが示された。さらに、今年度の研究により、Chk2に会合する候補分子としてyeast two-hybridスクリーニングにより同定していたOS-9(HIF-1αのプロリン残基の水酸化を促進し、HIF-1αの分解に関わる分子)が実際に培養細胞においてChk2と会合すること、ならびにHIF-1αがChk2によりリン酸化されることが明らかとなった(未発表)。今後OS-9を介したChk2によるHIF-1αの調節機構について詳細な解析を行う計画である。また、Wip1のホスファターゼ活性をin vitro及びin vivoで阻害する低分子化合物の同定に成功した(未発表)。
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