研究課題
DNA損傷に伴い、自己リン酸化を受け活性化されたATMキナーゼにより、Chk1、Chk2キナーゼがリン酸化・活性化を受けることによりチェックポイント機構が作動するが、これまでの本研究により、我々はDNA損傷時にp53依存的に発現誘導されるがん原遺伝子産物である核内Wip1ボスファターゼが、リン酸化・活性化されたATM、Chk1及びChk2キナーゼを脱リン酸化・不活化することにより、作動したチェックポイント機構を解除し、細胞周期を再開させることを明らかにしてきた。本年度の研究では、DNA損傷により活性化されたChk2(及びChk1)が、Wip1をリン酸化することを見出した。Chk2によるWip1のリン酸化部位の解析を行ったところ、少なくともWip1のN末端側46番目のセリン残基及びC末端側575番目のセリン残基がリン酸化されることが示された。特に46番目のセリン残基は、リン酸化を受けるど14-3-3分子と会合しうる部位(Arg-X-X-P-Ser-Pro)であり、実際この部位がリン酸化を受けたWip1は、14-3-3分子種の中でも14-3-3γと14-3-3ηと選択的に会合することが明らかとなった。また、本年度の研究において、Wip1と会合する新規分子としてJab1(Jab1/CSN5)及びMCRS1(MCRS1/MSP58)を同定することに成功した。諸種のJab1変異体及びMCRS1変異体を用いた解析から、Wip1はJab1分子内のp53の分解制御に関わるMPNドメイン及びMCRS1のN末端側の核小体移行シグナルを含むドメインと会合することが明らかとなった。今後、DNA損傷時におけるWip1とJab1並びにMCRS1との詳細な機能連関解析を行う予定である。
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