研究概要 |
癌遺伝子であるc-myc遺伝子の転写抑制がPLZFによって担われていること、HB-EGF-CTFがPLZFの機能を抑制できることを踏まえ,HB-EGF-CTFによるc-myc遺伝子転写制御を解析した。その結果、HB-EGF-CTFシグナルが増殖因子bFGFやEGFによるc-myc遺伝子発現に必須のステップとなっている事を明らかにした。従来、増殖因子刺激によるc-myc遺伝子発現受容体らのシグナル伝達で必要十分と考えられていたが、c-myc制御に基づくがん細胞増殖制御とがん治療の新たな道を探る上で、本研究によりPLZFが担う転写抑制がHB-EGF-CTFによっで解除されることを明らかにした意義は大きい。また、Bc16によって抑制がかけられるcyclinD2遺伝子の発現もHB-EGF-CTFによって抑制が解除されることを示すことができたことから、HB-EGF-CTFの細胞周期進行への関与が大きいことを示した。 また、細胞にshedding刺激が加わると、これにより産生されるHB-EGF-CTFとsheddingされずに細胞膜に残るunshed proHB-EGFは共に、エンドサイトーシスにより細胞内に取込まれることを明らかにした。さらに、これらは、低分子量G蛋白質のRab5とRab11による小胞輸送機能により、リサイクリングエンドゾームを経由して,ゴルジ装置、ERに運ばれることを明らかにした。また、ERに局在化したHB-EGF-CTFとunshed proHB-EGFは核膜内膜に局在化できることを免疫電子顕微鏡観察により明らかにした。これらの糸課より、細胞膜蛋白質力叉レトログレート小胞輸送により核膜内膜に局在しうることを世界に先駆けて証明した。
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