研究概要 |
HB-EGFは細胞膜に発現するI型膜蛋白質であり、その細胞外領域は増殖因子活性を有する。細胞に様々な刺激が加わると、膜型HB-EGFはsheddingを受けHB-EGF-CTFを産生する。HB-EGF-CTFと同時に、sheddingされずに細胞膜に残るunshed proHB-EGFは、共にエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、核膜内膜に局在変化することをこれまでに明らかにしてきた。また、核膜内膜において転写リプレッサーと結合し、これらの機能を制御することを報告してきた。本年度では、HB-EGF-CTFの標的リプレッサーの一つであるBCL-6が、HB-EGF-CTFとの結合により、その蛋白質の不安定性が増し、蛋白質分解によってその機能が負に制御されることを示した。 一方、HB-EGF-CTFの標的リプレッサーのスクリーニングから、さらに4つの標的リプレッサーを同定した。これら4種共に、構造的な特徴を共有し、N-末端側にKRABドメインを持ち、G-末端側にC2H2Znフィンガードメインを持つKRAB-ZNフィンガーファミリーに属する転写リプレッサーであることが明らかとなった。また、これら4種共に、これまでに報告の無い因子であることから、KRAB-1, KRAB-2, KRAB-3, KRAB-4とそれぞれ命名した。それぞれのリコンビナント蛋白質を作成し、HB-EGF-CIFとの結合をin vivo実験において確認した。さらに、細胞内局在を検討した結果、4種共に核内局在を示した。KRAB-1, KRAB-2, KRAB-3, KRAB-4のそれぞれに機能については現在解析を進めているところである。
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