• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

がん細胞の分化異常とチロシンキナーゼ制御

研究課題

研究課題/領域番号 17014069
研究機関九州大学

研究代表者

吉村 昭彦  九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90182815)

キーワードチロシンキナーゼ / STAT / SOCS / 炎症 / チロシンりん酸化 / 肝炎 / 肝がん / インターフェロン
研究概要

近年、ヒトの肝細胞癌患者においてsuppressor of the cytokine signaling-3(SOCS3)遺伝子のDNAメチル化とその発現減少が報告されている。しかし、生体内における肝細胞癌発生におけるSOCS3の役割は解明されていない。RT-PCR法とウエスタンブロットを用いて、我々は肝癌患者ではSOCS3の発現が減少していることを確認した。しかし、SOCS3の発現減少は肝細胞癌のみでなく、非癌部においても起きており、その減少は線維化の程度が増加するにつれてより強くなっていた。さらに、SOCS3レベルは、非肝癌部位においては、TGF-β1レベルと同様にSTAT3活性化と逆相関した。SOCS3の抑制およびSTAT3の過剰な活性化が肝線維化に与える影響を分子レベルで解明するために、肝臓特異的SOCS3欠損マウスの解析を行った。我々は、肝臓におけるSOCS3の欠損によりSTAT3の過剰な活性化が引き起こされ、結果的にConAや化学物質で誘導される肝線維化を増悪させることを証明した。線維化の調節因子であるTGF-β1の発現は、SOCS3遺伝子欠損によって増強され、逆にドミナントネガティブSTAT3もしくはSOCS3の過剰発現によって抑制されることが、in vivoおよびin vitroで観察された。これらのデータは、TGF-β1がSTAT3の標的遺伝子であり、SOCS3の欠損によって増悪する線維化の機序の一つであることを示唆している。本研究において我々は、これまで言われているSTAT3が癌遺伝子であると言う特徴に加え、STAT3がTGF-β1の発現増加を介して肝線維化を増悪させることで肝細胞癌発生に関わり、一方SOCS3はこの過程を抑制するという、これらの遺伝子の新たな役割を解明した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Loss of SOCS3 in the liver promotes fibrosis by enhancing STAT3-mediated TGF-betal production.2006

    • 著者名/発表者名
      Ogata H, Chinen T, Yoshida T, Yoshimura A, et al.
    • 雑誌名

      Oncogene. (in press)

  • [雑誌論文] Suppressor of Cytokine Signaling-1 Regulates Inflammatory Bowel Disease in Which Both IFNgamma and IL-4 Are Involved.2006

    • 著者名/発表者名
      Chinen T, Kobayashi T, Ogata H, Yoshimura A, et al.
    • 雑誌名

      Gastroenterology. 130(2)

      ページ: 373-388

  • [雑誌論文] Suppressor of cytokine signalling 1 in lymphocytes regulates the development of intestinal inflammation in mice.2006

    • 著者名/発表者名
      Inagaki-Ohara K, Sasaki A, Matsuzaki G, Yoshimura A, et al.
    • 雑誌名

      Gut. 55(2)

      ページ: 212-219

  • [雑誌論文] The Sprouty-related protein, Spred-1, localizes in a lipid raft/caveola and inhibits ERK activation in collaboration with caveolin-1.2005

    • 著者名/発表者名
      Nonami A, Taketomi T, Kimura A, Yoshimura A, et al.
    • 雑誌名

      Genes Cells. 10(9)

      ページ: 887-895

  • [雑誌論文] Loss of mammalian Sprouty2 leads to enteric neuronal hyperplasia and esophageal achalasia.2005

    • 著者名/発表者名
      Taketomi T, Yoshiga D, Taniguchi K, Yoshimura A, et al.
    • 雑誌名

      Nat Neurosci. 8(7)

      ページ: 855-857

  • [雑誌論文] Induction of hyper Th1 cell-type immune responses by dendritic cells lacking the suppressor of cytokine signaling-1 gene.2005

    • 著者名/発表者名
      Hanada T, Tanaka K, Yoshimura A, et al.
    • 雑誌名

      J Immunol. 174(7)

      ページ: 4325-4332

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi