研究概要 |
1. 2-ヒドロキシアデニン/アデニンDNAグリコシラーゼをコードするMutyh遺伝子を欠損したマウス(16匹)と野生型マウス(15匹)にKBrO_3添加飲水(2gL,16週)の投与により酸化ストレスを負荷した。野生型マウスでは1個体当たり平均1個以下の腫瘍形成を小腸にに認めるのみであったが,Mutyh欠損マウスにおいては1個体当たり平均数十個以上の小腸腺腫の形成が認められた。 2. rpsLトランスジーンを持つMutyh欠損マウスへのKBrO_3添加飲水の投与実験から,Mutyh欠損によりG : C→T : A突然変異が野生型の20倍以上高頻度に生じることが明らかになった。現在,1と2をまとめて論文を投稿中である。 3. Ogg1欠損細胞は,野生型の細胞よりもメナジオンによる酸化ストレス負荷に高感受性でピクノーシスを呈する。Ogg1欠損細胞が示した酸化ストレス感受性はMUTYHのsiRNAによるノックダウンで回復したことから,DNA中に蓄積した8-oxoGに対して取り込まれたアデニンをMUTYHが除去することで細胞死を促進する可能性が示唆された。現在,論文準備中である。 4.家族性大腸腺腫症患者でAPC遺伝子に変異を持たずMUTYH遺伝子に変異を持つ家系をのスクリーニングで見つかった新規のMUTYH変異の修復活性に及ぼす影響を解析し,機能欠損を見出した。 5. MUTYHの生物学的機能解析を目的としてMUTYH欠損マウスよりマウス胎児繊維芽細胞株(MEF)を樹立し、更に野生型および変異型の組換えMUTYHを発現するMEF株の作成を開始した。
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