研究課題
中心体複製制御分子であるSHD1の中心体複製制御を明らかにする目的で、SHD1と他の中心体複製に関与する分子との関連、ゲノム不安定性に及ぼす影響、さらにSHD1による中心体複製異常が個体レベルでどのような影響を及ぽすのか(特に腫瘍化の誘導)に関して解析した。まず、SHD1に結合する分子の同定を酵母ツーハイブリッドによって行った。その結果、既知のDNA複製やDNA組換えに関与すると考えられている3種類の分子がSHD1と結合することが明らかとなった。これらの分子が中心体に局在するという報告はこれまでなく、抗体作成によって確かに中心体に局在することを明らかにしようとしたが、現在までに良い抗体が樹立できずこの点は今後の課題である。これら3種類の分子とSHD1がどの領域で結合しているかを遺伝子導入実験で明らかにした。線維芽細胞株にSHD1を過剰発現させると中心体の多重化が起こるが、この時染色体数の増加及び染色体の融合等が観察され、ゲノム不安定性が細胞レベルで誘導されることを明らかにした。しかし、この細胞株を免疫不全マウスに移植しても腫瘍形成は見られなかった。SHD1による中心体複製異常がin vivoでどのような影響を及ぼすのかを明らかにするために、コンディショナルSHD1欠損マウスと1ckプロモーター制御下にSHD1を過剰発現させたトランスジェニックマウスを作成した。前者はまずB細胞でのみ欠損させて、B細胞分化や増殖を解析したが、コントロールマウスと比べて大きな差は認めなかった。マウスの個体レベルではSHD1の機能を代償する分子の存在が考えられ、現在CAG-Creマウスとの交配によって全身型SHD1欠損マウスを作成しているところである。後者に関しては、Tリンパ腫の発症を解析するために現在Ba1b/cマウスへバッククロスしている。
すべて 2005 その他
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Journal of Immunology 174・8
ページ: 4485-4494
Cancer Research 65・13
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Journal of Dermatological Science 印刷中
Anatomy and Embryology 印刷中