研究課題/領域番号 |
17014074
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
森下 和広 宮崎大学, 医学部, 教授 (80260321)
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研究分担者 |
西片 一朗 宮崎大学, 医学部, 助手 (50253844)
白神 俊幸 宮崎大学, 医学部, 助手 (70363596)
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キーワード | EVI1 / GATA-2 / 造血幹細胞 / 白血病幹細胞 / 転写因子 / DNAマイクロアレイ |
研究概要 |
EVI1遺伝子は、マウス及びヒト骨髄性白血病の原因遺伝子であり転写因子である。染色体転座によりEVI1高発現した白血病は難治性白血病に属する。そのEVI1高発現白血病の病態を調べ、新しい治療法を開発する目的で、まず、Evi1 KOマウスの解析を行い、Evi1遺伝子発現と造血幹細胞の異常を検討したEVI1遺伝子は骨髄細胞中幹細胞分画に高発現をしており、マウス胎児において、卵黄嚢、大動脈近傍P-Sp領域に高発現していた。KOマウスの造血能を検討したところ、マウス胎児二次造血での、造血幹細胞数の低下、それに伴う血管新生の異常があり、受精後10.5日で出血死を引き起こすことを同定した(慶応大学・須田先生との共同研究)。さらにKOマウスにおける造血組織の遺伝子解析を行ったところ、GATA-2遺伝子が特異的に発現の低下が見られた。またDNAマイクロアレイを用いて、EVI1/MEL1高発現白血病細胞株で、EVI1遺伝子群によって転写調節される遺伝子群の単離を試みた。その結果EVI1/MEL1の発現により、3倍以上の発現亢進遺伝子群68,発現低下群93を同定した。その低下群にGATA-2が含まれていたため、EVI1欠損マウスの結果と合わせGATA-2プロモーター解析を行った。その結果、EVI1が直接的にGATA-2プロモーター領域に結合し、GATA-2遺伝子発現調節に係わっていることを同定した(EMBO J 2005)。このことにより初めてEVI1の直接の標的遺伝子を同定することができ、EVI1によるGATA-2遺伝子の調節という転写因子カスケードによる造血発生機構の第一歩が明らかになった。従ってEVI1高発現白血病細胞におけるGATA-2転写調節が白血病発症に係わっている可能性を示唆するものである。
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