研究課題/領域番号 |
17014076
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
大野 茂男 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (10142027)
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研究分担者 |
鈴木 厚 横浜市立大学, 医学研究科, 準教授 (00264606)
秋本 和憲 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70285104)
水野 恵子 横浜市立大学, 医学部, 助手 (90221803)
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キーワード | aPKC / ASIP / PAR-3 / PAR-6 / 線虫 / 非対称分裂 / 極性 / 上皮 |
研究概要 |
細胞極性シグナル複合体PAR-6/aPKC/PAR-3が、上皮細胞の極性化の段階を促進するのみならず、脱極性化の段階を抑制していることを見いだした。さらに、Lg1が前者の機能をPAR-3と競合することにより抑制すると同時に、同様の機構で後者の機能を促進することを見いだした。一方、このPAR複合体の下流因子として既に同定したPAR-1に関しては、PAR-1がユートロフィン(ジストロフィンの普遍型アイソフォーム)を含むジストログリカン複合体のラテラル膜ドメインへのを局在化に必須であると同時に、これを介して細胞外基質ラミニンの組織化にも必須であることを見いだした。細胞の極性制御には、細胞間の接着に加えて細胞基質問の接着が必須であるが、PAR-aPKC複合体は細胞間接着に伴い作動すると同時に、細胞基質問相互作用を制御して細胞の極性制御に働くという新たな図式が示唆される。 細胞極性の個体レベルでの意義を調べる一環として、PAR-3のノックアウトマウスの解析から、これが発生途上での心内膜の前駆細胞のシスト形成に必須であることを見いだした。aPKCの神経上皮細胞特異的なノックアウトマウスの解析から、これが神経上皮細胞におけるアドヘレンスジャンクションの形成とそれに伴う細胞極性化に必須であることをみい出した。 ヒトがん組織におけるaPKCの発現の解析から、これが前立腺癌、乳癌などにおいて、発現高進が見られることを見いだしている。一方、aPKCの乳腺上皮細胞におけるノックアウトマウスの解析から、aPKCが乳腺上皮細胞の組織化に必須であることを見いだしている。様々な解析から、これが乳癌の初期段階のモデルとなる可能性がある。
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