研究課題
E-カドヘリンに代わってN-カドヘリンなど「浸潤性カドヘリン」を発現することが、上皮がん細胞の浸潤形質と良く相関することが病理学的所見から知られている。乳癌細胞株を用いたモデル実験系においても、E-カドヘリン発現細胞にN-カドヘリンやカドヘリン11等を強制発現させると浸潤的形質を賦与できることが示されている。このような浸潤にはα3β1等のインテグリンの活性化が必要である。本研究では、発現するカドヘリン種の変化がどのようにインテグリンと細胞基質接着に影響を及ぼし浸潤活性発揮に至るのか、言い換えれば、E-カドヘリンと細胞基質間接着制御との間との場合に比べN-カドヘリン等と細胞基質間接着制御との間にはどのような異なったクロストークがあるのか、その分子的実態を解明することを目的としている。本年度は、この研究の初期段階のデッサン的解析を行ったが、E-カドヘリンの細胞内動態に関する研究が先に進み出した。即ち、正常上皮細胞においてE-カドヘリンの接着が効率良く形成されるためには、EphRとそのリガンドとの相互作用が必要であること、このEphRの活性化はArf6の不活性化をもたらし、その結果、E-カドヘリン接着の安定化をもたらすことを明らかにした。同定したEphRは文献上、多くの悪性上皮癌で発現が変化しているものであり、癌細胞の悪性度進展との関連が示唆される。現在、Arf6の負の制御に関わるGAPの同定を進めていると同時に、N-カドヘリンの発現がEphR/Ephrinシグナル伝達経路に影響を与えるのかを検討している。
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