研究課題
E-cadherinを介する細胞間接着形成が失われる事は、多くの上皮性癌細胞が基質に対して浸潤性を獲得し悪性度を増す事と密接に関連している。上皮細胞においてE-cadherin接着形成には、低分子性G蛋白質であるArf6の活性が抑制されている事が重要である。EphA2異常発現が様々な癌の悪性度と良く相関する事が知られているが、EphA2はNckを介してGit1をレクルートしArf6活性を抑制する事、そのことによりE-cadherin結合を促進する事をその詳細な分子機構と共に明らかにした。また、幾つかの乳癌細胞においてはこのEphA2/Nck/Git1経路が正常に機能せず、その結果、E-cadherin結合が維持できないことも示唆された。一方、乳癌の浸潤転移機構の解析より、GEP100によるArf6の活性化が浸潤転移をもたらし、同時にE-cadherin接着破壊をもたらすこと、一方、他のArfGEFにより活性化されたArf6にはそのような機能はない事を明らかにしていた。今回、このGEP100-Arf6経路が血管内皮細胞にも存在し、血管新生と透過性制御に必須の役割をしている事を見いだした。その際、GEP100はVEGF結合によって活性化されたVEGFR2と直接会合し活性化された。このGEP100-Arf6経路は、VE-cadherinの動態を制御し、透過性を制御する事も示された。以上の結果は、GEP100により活性化されたArf6は、E-cadherinやVE-cadherinの細胞内動態制御に深く関わっている事を示しており、現在、それぞれの分子機構の解析を進めている。また、乳癌浸潤において、AMAP1がArf6のエフェクターとして機能する事を報告したが、今回、AMAP1はPKD2と複合体を形成し、その事によってintegrin β1のリサイクリング活性を制御し、浸潤に関与することを明らかにした。
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