研究課題/領域番号 |
17015006
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
赤座 英之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70010486)
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研究分担者 |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
内藤 誠二 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40164107)
並木 幹夫 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70155985)
平尾 佳彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00133207)
藤岡 知昭 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80173409)
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キーワード | がん / ゲノム / 食品 / 大豆イソフラボン / 細菌 |
研究概要 |
本研究ではイソフラボンが前立腺がんの予防に有用かどうかについて検討している。これまでのわれわれの知見では、前立腺がん患者はダイゼインをエコールへ代謝するエコール産生能が低く、前立腺がん罹患率の低い日韓に比べて、前立腺がん罹患率の高い欧米では健常人でもエコール産生者の割合が著明に低いことが判明している。本年度は次のような成果を上げた。1.これまでにダイゼインーエコール変換に関与すると考えられる腸内細菌の解析によって特定の細菌が同定されている。本年度はさらに遺伝子背景のサブ解析を進め、エコール産生能との関連について検討したところ、腸内に当該細菌を有する者は全てがエコール産生者であることが明らかとなった。2.健常男性においてイソフラボン負荷による体内ホルモン動態をみたところ、エコールはSHBGの産生を刺激し、遊離型testosteroneおよびDHTを減少させることが示唆された。3.前立腺がんのハイリスク群を対象とするイソフラボン製剤の二重盲検試験を進めており、平成20年3月末時点で142例の本登録を完了している。4.estrogen receptorα(ESR1)とaromatase(CYP19A1)の両遺伝子とイソフラボン摂取との交互作用を分析した結果、前立腺癌のリスクに対してイソフラボン摂取と最も有意な交互作用を示した遺伝子多型はCYP19A1のTTTA repeatとESR1のExon1におけるSNPの組合せであり、イソフラボンの前立腺癌に対する予防効果には宿主による違いがあることが示された。5.ヒト前立腺がん組織におけるestrogen-related receptorα(ERRα)の発現を検討したところ、ERRαの発現はがん組織で有意に増加していた。またERRαの発現がみられるがんは有意に異型度が高く予後が不良であったことからERRαは前立腺がんの予後因子の一つであることが推測された。 今後、介入研究の登録を進めるとともに、エコールの前立腺がん抑制作用に関する基礎的検討を行なう計画である。エコール非産生者を産生者へ変えるプロバイオティクスの可能性がある。
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