研究概要 |
ゲノム情報を基盤に疾患の新しい診断、治療、予防法の開発、ならびに基礎研究で得られた成果を臨床医学に展開する「トランスレーションリサーチ」に多大な期待が寄せられている。私たちは、ゲノム構造変化、エピゲノム遺伝子制御機構、体系的遺伝子発現解析など統合的ゲノム解析研究を推進し、癌の原因遺伝子探索と病態の解明、さらにこれら難治癌における画期的な診断のバイオマーカーならびに治療の標的分子の開発き目指した。 多発性骨髄腫の11q23.1増幅領域から標的遺伝子候補POU2AF1を同定した(Zao, et. al., Oncogene 2007)。卵巣癌に6q23.2ホモ欠失を見出し標的遺伝子がCTGFであることを明らかにした(Kikuchi, et. al., Cancer Res 2007)。神経芽腫(NB)において独自に開発したゲノムワイドDNAメチル化解析法であるBAC array-based MCA (BAMCA)法を用いてNBの網羅的メチル化解析から進行神経芽腫の候補癌抑制遺伝子PTGER2を見出した(Sugino, et. al., Oncogene)。グリオーマの高頻度13qヘミ欠失の標的遺伝子探索によって候補癌抑制遺伝子RGC32を同定した(Saigusa, et. al., Oncogene 2007)。口腔扁平上皮癌細胞株で見出した10q12ホモ欠失領域を詳細に解析し、標的癌抑制遺伝子のPRTEDC1を同定した(Suzuki, et. al., Oncogege 2007)。さらに、口腔癌特異的DNA過剰メチル化によって発現抑制を受ける癌抑制性マイクロRNA のmiR-137とmiR-193aを見出した(Kozaki, et. al., Cancer Res 2008)。さらにCGH databaseに各種癌のアレイCGH解析データを格納し、これを新たに公開した。本データベースは「CGH database Japan」として米国NCBIゲノムデータベースからもリンクが張られ国際的に利用されている。
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