研究概要 |
ゲノム構造変化、エピゲノム遺伝子制御、体系的遺伝子発現解析など統合的ゲノム解析研究を通して、癌の原因遺伝子探索と病態解明、さらに画期的な診断バイオマーカーや治療の標的分子の同定を目指した。口腔扁平上皮癌細胞(OSCC)株において4q25ホモ欠失を高頻度に見出し、標的遺伝子MTNRlAを明らかにした(Nakamura et al., Cancer Sci 2008)。さらに、OSCC特異的DNA過剰メチル化によって発現抑制を受ける癌抑制性マイクロRNAとしてmiR-137とmiR-193aを同定した(Kozaki et al., Cancer Res 2008)。アレイCGHにより卵巣癌細胞株に新規ホモ欠失(9q33.3)を見出し、標的遺伝子としてAngiopoietin-like protein 2(ANGPTL2)遺伝子を同定した。ANGPTL2は過剰DNAメチル化により発現抑制を受ける早期卵巣癌の癌抑制遺伝子候補である(Kikuchi et al.,Cancer Res 2008)。全癌の中でも極めて悪性の甲状腺未分化癌に20q11.22増幅を見出し、その標的癌関連遺伝子としてユビキチンE3リガーゼITCHを同定した(Ishihara et al., Cancer Sci 2008)。さらに、多発性骨髄腫の11q23.1増幅領域から標的遺伝子候補POU2AF1を同定した(Zhao et al., Oncogene 2008)。また、CGH databaseに各種癌のアレイCGH解析データを格納し、これを新たに公開した。「CGH database Japan」として米国NCBIのゲノムデータベースからもリンクが張られ、27300件以上のアクセス(2009/03/11)があり国際的に利用されている
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