研究課題/領域番号 |
17015019
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高橋 隆 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50231395)
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研究分担者 |
柳澤 聖 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20372112)
冨田 秀太 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 研究機関研究員 (10372111)
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キーワード | 分子腫瘍医学 / 肺がん / 網羅的遺伝子発現解析 / プロテオミクス / マクロアレー / バイオインフォマティクス / マイクロRNA |
研究概要 |
わが国のがん死亡原因の第1位である肺がんを対象とし、その分子病態について多面的で詳細な検討を展開することによって夫々のがんが持つ個性を特徴付ける基盤を解明し、もって個別的分子診断・治療法の開発へとつなげ、最終的にオーダーメイド医療を実現に寄与することを目指して研究を進めた。その結果、以下の成果を得た。 (1)治癒が見込める外科的切除を受けた149症例のヒト肺非小細胞がん腫瘍組織における18,175遺伝子の網羅的遺伝子発現プロファイル情報に基づいた詳細なバイオインフォマティクス解析を進めた。現行の形態学的分類では不明な、遺伝子異常や臨床病態と密接に関連する2群の肺腺がん存在を明らかとし、さらに外科切除後の分子標的薬治療が特に有用と思われる患者群の同定にも成功した。 (2)174症例のヒト肺がん外科切除例のMALDI-TOF-MS解析とそのバイオインフォマティクス解析を通じて、再発関連死亡と密接に相関する蛋白発現シグネチャーを同定し、再発・死亡を病期に関わらず極めて正確且つ個別的に予測できるモデルの構築に成功した。完全に独立した58症例を用いたバリデーションにおいても、再発関連死亡シグネチャーを持つ症例はほぼ全例の再発・死亡が観察された。 (3)ヒト肺がんにおいてしばしば遺伝子増幅を伴って過剰発現を示すmiR17-92マイクロRNAクラスターを同定するとともに、このマイクロRNAクラスターの過剰発現による肺がん細胞株の増殖促進を明らかとした。
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