研究概要 |
がん研究におけるプロテオミクス解析の最も有効なストラテジーを構築するため、最先端の高感度・分解能・解析速度をもつプロテオミクス解析技術のがん研究への応用と方法論の確立を行っている。昨年度に引き続き脳腫瘍の解析に加え、これまでに確立した方法論を他の癌腫に広げて検討すると共に、これら関連Proteome Data Baseの開発とプロトコールの最適化と迅速な検証法の検討を行った。特に、本年度は脳神経系組織細胞のみならず、胆管がん細胞、褐色細胞腫、神経系腫瘍細胞等を用いて、各種蛍光/安定同位体標識差異解析法を中心に検討し、f〜atmolのレベルの組織由来蛋白質の同定と、定量的差異解析を可能とする技術(主にiTRAQ法、2D-DIGE法)を応用した。又、同じサンプルを用いてトランスクリプトーム解析を行い、mRNA発現解析データとプロテミクスのデータを統合マイニングする技術を多様に対応させ様々なdifferential解析に応用することによって多数の新規分子群の同定を可能とした。Glioma, Cholangiocarcinoma, Pheochromocytomaの形成進行に関連して変化する蛋白質群の検出・同定を、各種患者組織・培養細胞から得られたリン酸化情報を含めた定量的蛋白質差異解析・同定情報とmRNA発現情報を統合して、特異的な細胞内異常シグナルの抽出を試み、gliomaに関して抗癌剤感受性・非感受性に関連するシグナル分子群(EGFR-MAPK, PI3K-AKT,血管透過性、細胞周期、細胞接着因子、核レセプター関連等)、胆管がんにおいては未分化型特異的分子群(MetAP2, Galectin3等)、Pheochromocytomaに於いては神経系分化に関わる分子群(CRMP2, 14-3-3等)の抽出に成功した。又、これら同定分子群の抗体ライブラリーの作成と高感度auto2D-Western-Blottingによる迅速な検証法と細胞生物学的検証法を検討し、同定蛋白質群の発現変動の有意性を確認した。
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