研究課題/領域番号 |
17015037
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
秋葉 澄伯 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50145554)
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研究分担者 |
栄鶴 義人 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00041351)
杉原 一正 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00117516)
吉永 光裕 鹿児島大学, 医学部・歯学附属病院, 助教授 (00221672)
北島 信一 鹿児島大学, 医学部・歯学附属病院, 助教授 (30347116)
郡山 千早 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (30274814)
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キーワード | 疫学 / がん / ウイルス / 環境要因 / 遺伝的背景 |
研究概要 |
今年度は、中国、インド、パキスタン、パプアニューギニアなどのアジア地域とコロンビア、チリなどの南米地域から収集された、食道がんおよび肺がんをそれぞれ約180例ずつの病理標本を用いて、HPVゲノムの有無をPCRおよびサザンブロッティング法などにより検索した。さらにHPVゲノムが確認された症例については、塩基配列解析によりウイルスのサブタイプを決定した。また、HPVの発癌過程における役割を検討すべく、p16やp53などのがん関連蛋白の発現頻度を免疫組織化学染色法により調べ、HPV陽性例と陰性例との比較を行った。 食道癌:中国、パプアニューギニア、パキスタン、南米のチリ、コロンビアの食道癌についてHPVゲノムの検索を行ったところ、約4分の1の病理標本からHPVゲノムを検出することができた。国別間の比較では、パキスタンが最も頻度が高く、約半数の症例でHPVが検出された。南米のコロンビア(30%)やチリ(20%)でも比較的高い頻度でHPVが確認されたが、他のアジア地域では10%前後であった。南米で検出されたHPVは、すべてHPV16やHPV18といったhigh-risk型のHPVであったが、パキスタンで検出されたHPVの半数は、low-risk型のHPV6であった。p16発現の有無とHPVの有無との関連を比較したところ、HPV16陽性例では、p16の陽性率が高い傾向が認められた。HPV関連がんである子宮頚がんにおいてもP16の過剰発現が報告されていることから、一部の食道がんにおいても発癌過程におけるHPVの関連を示唆する結果と考えられる。また、パキスタンのHPV16陽性食道がん症例の一部で、間接的ではあるがHPVのintegrationを示唆する結果も得られており、今後さらに、他の地域の症例についても検討する予定である。 一方肺がんでも、約20%にHPVゲノムが検出される症例が認められたが、p16およびp53の発現との関連は認められなかった。
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