研究課題/領域番号 |
17015037
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
秋葉 澄伯 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50145554)
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研究分担者 |
栄鶴 義人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00041351)
杉原 一正 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00117516)
吉永 光裕 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (00221672)
北島 信一 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (30347116)
郡山 千早 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30274814)
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キーワード | 疫学 / 癌 / ウイルス / 環境要因 / 遺伝的背景 |
研究概要 |
我々はこれまでに、中国、パキスタン、日本、南米チリ・コロンビアなどの食道扁平上皮癌および肺癌を対象に、HPV検出率が地域や組織型により大きく異なることを示し、いずれの癌においても殆どのHPV16陽性例ではHPVが細胞DNAに組み込まれていること(BJC, 2007)、細胞当たりのHPVコピー数は平均0.1程度で、子宮頚癌で観察されるコピー数(100-1000)と比べると著しく少ないことを報告した。乳がん症例においても同様の検討を行ったところ、HPV検出率に地域差を認め、パキスタンが28%と最も高く、南米チリは9%と最も低かった。一方、細胞当たりのコピー数は、中南米の症例において多い傾向を認め、HPV-16のコピー数は細胞当たり平均0.6程度であった。また日本の乳がん症例において、erbB2やホルモン受容体の発現、出産歴等との関連を検討したが、有意な関連は認めなかった(BJC, 2008)。さらに肺がんと乳がんを中心にHPVの臨床的意義を検討した。日本の肺がんでは、gefitinib治療への反応が良い症例は、反応が悪い症例と比べて、HPVゲノムが原発がん組織から検出される頻度が有意に高かった(Oncology Reports, 2010)。また、HPVと予後との関連との報告があるため、日本の肺腺がんと乳がんの症例に限定して、HPVゲノムの検出と予後との関連について予備的な検討を行ったが、有意な関連は認められなかった。 一方、発がん過程における放射線曝露とHPVとの相互作用を検討する目的で、インドの高自然放射線地域と対照地域から収集した口腔、食道、子宮頸部のがん組織を用いてHPV検出率の比較を行ったところ、上部消化管がんの高リスク型HPVの検出率および子宮頸がんにおける細胞辺りのHPVコピー数とも高自然放射線地域で高いという結果が得られた。
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